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  5. 2006年5月 Vol.10

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2006年5月 Vol.10

Practice
軟性内視鏡の用手消毒を廃止

鹿児島大学病院

この記事のテーマ
  • ICT活動
  • 製品導入効果
[画像] 鹿児島大学病院

鹿児島大学病院は特定機能病院としての使命を担って、高度先進医療の推進や医療サービスの充実などとともに医療安全および病院感染対策の強化をはかっています。内視鏡関連の感染対策としても先進的な取り組みをおこなっており、昨年、ICT(Infection Control Team)が中心となって院内の軟性内視鏡を取り扱う各部署に洗浄消毒器を導入しました。そこで、ICTのチーフを務めておられる川原元司先生(感染症制御学助教授、泌尿器科)とICT活動の実務を担っておられる溝口初枝さん(感染対策担当看護師長)から、軟性内視鏡に関する洗浄・消毒対策などをうかがいました。また、内視鏡室看護師の江平加代子さん(消化器内視鏡技師)から、洗浄・消毒で留意している点などをお話いただきました。

ICT活動としての軟性内視鏡洗浄・消毒対策

ICTの働きかけによって、各部署の洗浄・消毒システムを変更

内視鏡室以外の軟性内視鏡を使用している各部署のシステムを変更されましたね。

川原昨年、私が担当している泌尿器科外来をはじめ、ICU、第3内科(呼吸器)、第1外科(消化器)、病棟、それぞれ5つの部署に洗浄消毒器を導入しました。それ以前は、グルタラール製剤を使って用手による洗浄および浸漬消毒をしており、そのような洗浄消毒方法に不安をもっていました。

今回、私がチーフを務めるICTの働きかけによって、洗浄消毒器の導入が実現したのですが、実際に院内での調整を担当したのは溝口師長でした。当院の場合、機器の購入については、各部署ごとに機種の選定を含めて購入計画をたてて、管理課に申請し、更新、設置を検討します。購入に関しては、ICTから感染対策上の有用性、安全性、効率など、きちんとした根拠を提示し、意見を反映できるシステムが構築されています。

川原元司先生

ICTチーフ川原元司先生(鹿児島大学大学院感染症制御学助教授)

溝口キッカケは、平成16年に国立大学附属病院感染対策協議会のメンバーの先生方が当院を訪問調査された際に、内視鏡室以外の軟性内視鏡の用手による洗浄・消毒方法の管理が不十分であると指摘を受けたことでした。用手法は、個人差が生じるため、統一化が難しいことに加え患者様から見えるところで消毒剤に浸漬していたり、十分な換気が徹底できておらず、曝露の問題もあることがわかりました。そうした問題点を改善するには自動化の必要があったわけです。幸いに院内でのコンセンサスが得られやすい土壌があり、早い段階での取り組みができました。

溝口初枝さん

ICT感染対策担当看護師長 溝口初枝さん

各部署の実態をもとにした洗浄・消毒マニュアル作成が望まれる

軟性内視鏡の洗浄・消毒について、今後ICTとしてどのような対応を考えていますか?

溝口内視鏡の洗浄・消毒に関する今後のテーマとしては、洗浄消毒器にかける前の予備洗浄方法や洗浄消毒器の手入れ、軟性内視鏡の保管などがあげられます。今後は、内視鏡の洗浄・消毒が進んでいる内視鏡室やME機器管理センターなどの協力を得て各部署を見て回ってもらうことも検討したいと思います。

予備洗浄方法などは院内感染対策マニュアルに記載されていますが、主に内視鏡室を対象としたものです。その他の部署でも専用のマニュアルが必要であり、そのためには、各部署での洗浄・消毒の実態について情報収集することが必要であり、毎年、実態調査も行っています。基本的には各部署に適したマニュアルを作成・配置し、周知と確認をするためにICTで定期的に検証していく方法がよいでしょう。

川原泌尿器科は硬性内視鏡も使用していますが、これからは軟性内視鏡に移行されていくでしょう。それに伴って、内視鏡による交差感染防止のための対策が重要になってきます。他の軟性内視鏡を扱う部署でも内視鏡による感染リスクが高いことを認識しているはずです。感染対策の第一歩として今回、洗浄消毒器を各部署に導入しましたが、今後は各部署の実情を把握して教育方法なども検討してきたいと思います。

内視鏡室内の洗浄・消毒コーナー

内視鏡室内の洗浄・消毒コーナー

内視鏡室での内視鏡洗浄・消毒対策

洗浄・消毒は、マニュアル遵守とお互いのチェックをおこなう

内視鏡室の感染対策として留意している点は何でしょうか?

江平内視鏡室は、血液のほか、目に見えない唾液や体液が飛散して汚染されやすい場所です。そのため、通常はマスク、エプロン、手袋を着用し、緊急内視鏡、感染患者施行時にはキャップ、ゴーグル、長袖エプロン、シューズカバーも使用しています。更にベッドには二重のシーツ、床には汚染拡散防止用のシートを敷いています。また、ディスポーザブルの製品は決して再使用しないことも徹底しています。

江平加代子さん

内視鏡室看護師、消化器内視鏡技師
江平加代子 さん

内視鏡の洗浄・消毒方法をお聞かせください。

江平内視鏡は早くから全例で高水準消毒をしています。以前はグルタラール製剤を使っていましたが、浸漬時間が長く、暴露による危険性が懸念されていたので、フタラール製剤の発売と同時に院内全体で切替えました。また、洗浄消毒器はエンドクレンズを導入し、ランニングコストの低減をはかっています。

洗浄・消毒方法については、院内の感染対策マニュアルにも記載されていますが、内視鏡室内では、消化器内視鏡技師会の「消化器内視鏡の洗浄消毒に関するガイドライン」に基づいた、より詳しくわかりすいマニュアルを独自に作成しています。マニュアル遵守を徹底していますが、さらに標準化をはかるためにお互いにチェックして、ミーティングで確認するようにしています。

軟性内視鏡を扱う部署間のコミュニケーションを密にする

軟性内視鏡を扱っている他の部署の状況はご存じでしょうか?

江平主に、感染対策担当の溝口師長から情報を伝えてもらい、内視鏡の扱い方や洗浄・消毒方法等について他の部署で困っていることがあれば、相談に乗ったりしています。「内視鏡室の洗浄・消毒に関するガイドライン」も必要部署に配布し、参考にしてもらうように努めています。また、当内視鏡室でも消化器内科以外の医師が来られて検査をしていますので、洗浄・消毒に関する情報交換をしたりしています。

光学機器を扱う部署を中央管理化するのが理想ですが、当面は各部署とのコミュニケーションを密にして院内全体で安全な内視鏡検査を実施できるようにしていきたいと考えています。

施設の紹介

[画像] 鹿児島大学病院

鹿児島大学病院

鹿児島市桜ヶ丘8丁目35−1
病院長 : 高松英夫
病床数 : 725床
1日平均外来患者数 : 907.2人(医科部門平成16年度)

鹿児島大学病院のウェブサイト

消化器内視鏡/検査・診療の概要

年間検査件数 : 2,873件(平成16年度)
 (内訳)
  上部消化管 2,137件(うちEUS:278件)
  下部消化管 530件
  ERCP 206件

スコープ本数 : 12本
 (内訳)
  上部消化管用 : 8本
  下部消化管用 : 4本

洗浄消毒器設置台数 : 3台
検査ベッド数:2台
医師数: 11名ほか研修医
スタッフ数 : 看護師(消化器内視鏡技師)1名、検査助手1名、内視鏡技師1名、受付1名、秘書1名