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内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2006年10月 Vol.11

Practice
大腸内視鏡室の増設とともに洗浄消毒体制を改革

東北厚生年金病院

この記事のテーマ
  • 内視鏡室レイアウト
  • 業務改善
  • 製品導入効果
東北厚生年金病院

東北厚生年金病院は、仙台市の東側に位置し、仙台市と塩釜市、多賀城市、七ヶ浜町、利府町などを診療圏に含んだ地域の中核病院として発展しています。内視鏡室においても検査件数が増加傾向にあることから、このほど大腸内視鏡室を増設しました。そこで、大腸内視鏡室の増設を提案され、洗浄・消毒についても見直しをはかられた消化器科部長の熊谷進司先生と看護責任者の佐藤春美さん(看護局外来科長)から、内視鏡室の概要などを含めてお話をうかがってきました。

患者さんとスタッフの動線を交差しないように設計

大腸内視鏡室を増設された背景などを教えてください。

佐藤内視鏡検査件数が増加して、大腸内視鏡検査は放射線科の1室でのみおこなっていたことが増設した主な理由です。熊谷先生が昨年当院に赴任されたことが直接のキッカケになって、先生を中心に具体的に進めていった経緯があります。上部内視鏡室の隣にあった倉庫を大腸内視鏡室に増設することで検討しました。

熊谷日本消化器内視鏡技師会のアンケート調査による内視鏡室の平均面積が21.8㎡であることから、倉庫スペースを改造して1室設けることができることがわかりました。次に、医師とスタッフから意見を聞いた結果、検査診療室を個室化するとともに、大腸内視鏡専用の洗浄室を独立して設けることにしました。

熊谷 進司 先生

消化器科部長
熊谷 進司 先生

検査診療室が広く感じます。

熊谷21.6㎡あります。ここでライブデモンストレーションをすることもあるために広くスペースをとりました。病診連携のために近隣の開業医の先生方や内視鏡診療を目指す若い医師を対象に年に2回くらいおこなっています。

他にレイアウトで工夫された点はあげていただけますか?

熊谷まず、患者さんの動線とスタッフの動線が交差しないように設計しました。検査終了後、患者さんは更衣室へ行き、スタッフはスコープを持って洗浄室へ行く動線になっています。また換気に関しても考慮しました。空気は検査診療室の上部から洗浄室の下に設けた換気口へ流れ、消毒剤の臭いが検査診療室に来ないように工夫しました。また、トイレは待合室からは見えない位置に設けました。

大腸内視鏡室内

大腸内視鏡室内

上部内視鏡洗浄室

上部内視鏡洗浄室

洗浄消毒器の購入費と維持費を比較検討した

感染対策面の方針をお聞かせください。

佐藤実は一昨年までは感染症チェックをして、陽性の場合にのみ高水準消毒で器械洗浄をおこなっていたのですが、熊谷先生からも強い支援をいただいて、念願の全例高水準消毒を実現することができました。

熊谷スタンダード・プリコーション(標準予防策)を遵守する必要性を強く訴えました。スクリーニング検査にはウインドウ期があり、未知のウイルスもあるため、感染症チェックは意味がありません。却って陰性と出た場合、変な安心感を持ってしまい、対応にムラが生じてしまいます。

佐藤 春美 さん

看護局外来科長
佐藤 春美 さん

全例で高水準消毒を実現させるために、他に取り組まれたことは何ですか?

熊谷日本消化器内視鏡学会や日本消化器内視鏡技師会の洗浄・消毒ガイドラインで推奨されている高水準消毒剤の採用と洗浄消毒器の更新が必要になりましたので、データを示して病院幹部を説得しました。内視鏡室における収支を算出し、感染対策コストも詳細に示しました。必要物品の見直しと感染ゴミの減量化を提案するとともに、2種の洗浄消毒器を比較したデータを示した結果、購入実現となりました。比較データは、各購入費および維持に必要なランニングコストを計算して総合的に検討したものです。

また、洗浄消毒要員を外注委託してもらうことによって、スタッフを増員することなく円滑に内視鏡の洗浄・消毒をおこなうことができるようになりました。

佐藤洗浄消毒要員の方には、日本消化器内視鏡技師会の洗浄・消毒ガイドラインをもとに作成したマニュアルに従ってもらっています。中央材料室の業務もローテーションで就いている方なので、清潔・不潔の概念などについてもよく理解していただいています。

これまで患者さんへのケアの合間に私たち看護師が洗浄・消毒をしていましたから、患者さんの看護に神経を集中できるようになったことが大きなメリットですね。

内視鏡のエキスパートナースを目指す

患者さんへの配慮のためにいろいろな工夫をされているようですね

熊谷原則としてセデーションは行なわないということもあり、患者さんが少しでもリラックスして検査が受けられるように、好音響でBGMを流すほか、鎮静効果のあるアロマオイルの香りを漂わせています。あと、「笑顔とおしゃべりは無料」と言っているのですが、患者さんにはお話しながら施行するようにしています。

佐藤壁の色をピンク色にしたことでも鎮静効果があるだろう、と思います。熊谷先生と院内を見て回って色を決めました。ピンク色にすると患者さんの顔色がよく見えるだけでなく、患者さんから先生の顔を見た時の印象も良くなることがわかったためです。

鎮静効果をはかるアロマオイル

鎮静効果をはかるアロマオイル

最後に今後の抱負などをお聞かせください。

佐藤大腸内視鏡室が増設された機会に、腹部救急対応が可能になり、看護師も24時間オンコール態勢をとるようになりました。今後は、内視鏡看護の質を向上させる一環として、看護記録を改善していく予定です。看護師は全員消化器内視鏡技師資格を取得しているように勉強熱心ですし、病院も学会や研究会への参加は出張扱いで認めてもらっています。内視鏡のエキスパートナースを目指していきたいと思います。

熊谷大腸内視鏡の検査と治療件数は大幅に増えています。今後は、経鼻内視鏡などにも取り組んでいきたい、と考えています。その他、病院全体の感染対策レベル向上のために、軟性内視鏡を使っている他科にも、高水準消毒で器械洗浄する必要性を啓蒙できればと願っています。

内視鏡室のレイアウト

内視鏡室のレイアウト

施設の紹介

[画像] 東北厚生年金病院

東北厚生年金病院

仙台市宮城野区福室1丁目12番1号
院長 : 松野正紀
病床数 : 500床
1日平均外来患者数 : 848人(平成17年度)

東北厚生年金病院のウェブサイト

消化器内視鏡/検査・診療の概要

年間検査件数 : 6,290件(平成17年度)
 (内訳)
  上部消化管 4,526件
  下部消化管 1,764件

スコープ本数 : 15本
 (内訳)
  上部消化管用 : 9本
  下部消化管用 : 6本

洗浄消毒器設置台数 : 6台
検査ベッド数:3台
医師数: 消化器科医9名他研修医
スタッフ数 : 看護師7名(全員消化器内視鏡技師、うち3名他科応援看護師)、看護局外来科長、看護補助員