1. HOME >
  2. 感染管理情報TOP >
  3. 製品関連情報誌 >
  4. 内視鏡関連情報誌 >
  5. 2007年5月 Vol.12

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2007年5月 Vol.12

Practice
現状の洗浄・消毒効果を判定するために、薬液の濃度測定のほか、細菌培養検査を実施

神戸市立医療センター 西市民病院

この記事のテーマ
  • 消毒薬濃度測定
  • 製品導入効果
[画像] 神戸市立医療センター 西市民病院

神戸市市街地西部の地域中核病院として約50年の歴史を持つ神戸市立医療センター西市民病院は、平成7年の阪神・淡路大震災で倒壊した後、平成12年に再建されました。その後、臨床研修指定病院の指定を受け、病院機能評価を受審・認定を受けるなど医療体制の整備も進んでいます。消化器内視鏡診療体制も充実し、地域医療に重要な役割を果たしています。そこで、昨年、同病院に赴任され消化器内視鏡センター長を務める山下幸政先生、放射線科看護師長の下見幸子さん、放射線科看護師長補佐の渡邊佐紀子さんから、内視鏡室における感染対策を中心にお話をうかがいました。

高齢者も多く、苦痛のない安全な内視鏡検査に努める

内視鏡診療で留意されていることを教えてください

山下苦痛のないように、セデーションをなるべくおこなうようにすることと、安全に検査をおこなうということです。当院ではESD (内視鏡的粘膜下層剥離術)など高度な内視鏡治療が多くなっていますので、安心、安楽というテーマは一層重要になっています。そして、きれいなスコープを使って確かな診断をすること。そのため、古くなったスコープは新しい製品に更新するように努めています

下見当院の受診者は比較的高齢者が多いため、苦痛のない安全な内視鏡検査をおこなうことは、より重要です。それは、放射線科内視鏡室の看護師に求められていることでもあります。胃粘膜の泡を減少させるため前処置薬の飲み方を工夫していますし、安全な内視鏡看護のために看護師も新しい治療的内視鏡術について勉強をしています。

山下 幸政 先生

消化器内視鏡センター長
山下 幸政 先生

感染管理も安全な検査をおこなうために大切ですね。

山下そう思います。その点当院の内視鏡室は、看護師の渡邊佐紀子さんを中心に内視鏡の洗浄・消毒から環境感染対策までしっかりおこなっていますので、内視鏡医としても安心して診療をおこなうことができます。

下見スタンダード・プリコーション(標準予防策)に基づいて、手洗いを徹底し、全例で高水準消毒をおこなっているほか、洗浄・消毒スタッフはゴーグル、予防衣、キャップ、マスク、手袋を着用しています。

消毒剤の濃度測定結果をもとに、6日目以降に濃度チェックを実施

内視鏡の洗浄・消毒は専任の方がおこなわれているのですか?

渡邊そうです。昨年4月から、洗浄・消毒は業者に委託しました。それまでは看護師がおこなっていたのですが、検査の流れがわかるのでどうしても急いで洗浄をしがちでしたが、委託の方は洗浄・消毒専任なので丁寧に作業をしてくれていて安心です。

下見それは、渡邊さんが1ヵ月かけて十分指導してくれたからです。その結果、洗浄・消毒を委託してから看護師1名を検査説明に振り分けることができ、新たに検査説明コーナーも設置しました。

下見 幸子 さん

放射線科看護師長
下見 幸子 さん

高水準消毒剤は何を使用されていますか?

渡邊平成14年12月にグルタラール製剤からフタラール製剤に変更しました。変更申請時には、申請理由として、消毒時間の短縮ができること、低刺激性・低揮発性であることのほか、残留蛋白の着色により洗い残しが確認できる点もメリットとしてあげました。消毒剤については、有効濃度0.3%以上であることを確認して使用しなければなりませんから、テストストリップで濃度チェックをおこなっています。そして、更にきちんとしたエビデンスを得るためにジョンソン・エンド・ジョンソンに、濃度測定試験を依頼しました。洗浄消毒器別にどのくらいの使用回転数・使用日数で最小有効濃度を下回るかについて調べてもらいました。

濃度測定結果はいかがでしたか?

渡邊測定結果からは、当初、当院の洗浄消毒器で使用回数の目安としていた30回転を超えてもフタラール製剤の使用日数期限の14日以内であれば使用可能でしたが、安全域を確保する意味で30回転を薬液交換の目安と設定することにしました。また、当院では洗浄消毒器は3台ともフル回転していますので、薬液交換後6日目から濃度チェックを開始することにしました。交換目安の30回転になるのは平均して10日目くらいですが、休日や夜間の使用を考慮し、余裕をもって行なうようにしています。テストストリップで“FAIL”と判定された場合でも、濃度測定ではフタラール製剤の最小有効濃度である0.3 %以上をわずかに上回っていたこともありましたが、これはテストストリップの安全域と捉え、早めの交換を心がけています。

消毒剤の濃度をチェックし管理することは基本的なことですが、スコープの感染管理を行なう上でもっとも重要なことと考えています。

消毒剤濃度の低下傾向は、同一施設内の同一洗浄消毒器における使用であっても、季節変動による温度環境やスコープの清浄度などの諸条件により異なる場合があります。

渡邊 佐紀子 さん

放射線科看護師長補佐・消化器内視鏡技師
渡邊 佐紀子 さん

培養検査により洗浄消毒を評価し、質の管理を徹底

その他、洗浄・消毒で工夫されていることがありましたら、教えてください。

渡邊日本消化器内視鏡技師会の「洗浄・消毒に関するガイドライン」の遵守は、最低限クリアすべき基準と捉えています。また、自分たちがおこなっている洗浄・消毒について客観的に評価しながら、感染対策の改善をはかるように努めています。薬液の濃度測定もその一つですが、他には洗浄・消毒の質保証の一環として、検査後と洗浄・消毒後のスコープと洗浄時に使用する器具から検体を採取し、細菌培養検査をおこないました。

下見さん、山下先生、渡邊さん

医療の質の保証という観点から改善を図っているわけですね。

渡邊患者様の安全を守り、感染予防ができているかどうかを見直すために、データをとって検証していくことは大事です。反面、感染管理のために実施していることでもエビデンスがないものについては省略して作業の効率化をはかる必要もあります。現在はまだ、洗浄消毒器とシンクは上部用と下部用に分けて使用していますが、これはエビデンスがないので共用することに決めました。

最後に、内視鏡室のスタッフ教育について教えてください。

渡邊消化器内視鏡技師会の研究会などには必ず誰かが参加してスタッフ同士で報告するようにしています。当院では消化器内視鏡技師資格を取得したスタッフが合計12名いるのですが、残念ながら、ほとんどが他部署へ異動してしまいました。その他の院外の講演会などにも積極的に参加するようにしています。院内では、新人看護師用と異動で内視鏡室担当になった看護師用の2種類の教育プログラムがあり、院内での勉強会で活用しています。

洗浄・消毒コーナー

洗浄・消毒コーナー
写真左側が検査室で、動線が交差しないようにレイアウトされている。

施設の紹介

[画像] 神戸市立医療センター 西市民病院

神戸市立医療センター 西市民病院

神戸市長田区一番町2‐4
院長 : 織野彬雄
病床数 : 358床
1日平均外来患者数 : 980 人(平成18 年度)

神戸市立医療センター 西市民病院のウェブサイト

消化器内視鏡/検査・診療の概要

年間検査件数 : 4,324 件(平成18 年度)
 (内訳)
  上部消化管 2,822件
  下部消化管 1,158件
  ERCP 98件
  BF 178件
  PEG 68件

スコープ本数 : 18本
 (内訳)
  上部消化管用 : 9本
  下部消化管用 : 5本
  十二指腸用 : 4本

洗浄消毒器設置台数 : 3台
検査ベッド数:3台(他に透視下1台)
医師数: 6名(うち日本消化器内視鏡学会指導医・専門医3名)、他研修医
スタッフ数 : 看護師11名(うち消化器内視鏡技師2名)、洗浄業務担当(委託業者)1名