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内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2007年5月 Vol.12

Practice
洗浄・消毒の質保証のため、薬液の濃度管理と洗浄・消毒記録を徹底

市立旭川病院

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 消毒薬濃度管理
  • 製品導入効果
[画像] 市立旭川病院

市立旭川病院は、昭和5 年に旭川市立診療所として開設して以来、旭川市内だけでなく北海道北部一円の基幹病院として発展してきました。高度専門医療の提供により地域医療の質の向上に努めてきており、消化器内科においても早期消化管がんへの先進的内視鏡的治療に積極的に取り組んでいます。一方、進行消化管がんに対しても患者様のQOL向上に努めています。そこで、消化器内科と消化器外科を統括する消化器病センター長の斉藤裕輔先生と外来主査(内視鏡室責任者)の佐々木夏美子さんに、消化器内視鏡の診療内容および内視鏡室での感染対策についてうかがいました。

消化器内科・外科、放射線科で緊密な連携をはかっている

内視鏡室での診療方針を教えてください。

斉藤精密検査で確定診断を的確に下し、低侵襲の最先端治療を高度な技術を駆使して短時間で行うことです。検査、診断の質、治療の内容、手技で高い評価が得られるように研鑽を積んでいます。

斉藤 裕輔 先生

消化器病センター長
斉藤 裕輔 先生

主な内視鏡治療内容をあげていただけますか?

斉藤当院の内視鏡室は、上部・下部の消化管と肝・胆・膵の領域に分け、お互いに専門性を活かすようにしています。消化管の早期がんに対してはEMR やESD など積極的に内視鏡治療を行っております(平成17年度:早期胃・食道がんのEMR,ESD:39例、早期大腸がんのEMR:52 例)。進行消化管がんに対しても放射線科との協力によって動注リザーバー併用による放射線化学療法などをおこなっています。肝・胆・膵領域においては、内視鏡とIVR(Interventional radiology )の併用による肝硬変症の食道静脈瘤に対する治療や肝がんに対するRFA (ラジオ波焼灼)療法やPE IT(エタノール注入療法)などを行っています。胆・膵系の精密検査、治療も年間700例以上をこなしています。 また、救急対応として24 時間オンコール体制をとっており、吐下血に対する緊急内視鏡検査や止血術の件数も多いですね。

他科と連携して消化管のがん治療に取り組んでおられるのですね。

斉藤平成17年10月より、消化器内科と消化器外科が同一フロアに集結し、消化器病センターがオープンしました。消化器悪性腫瘍に関しては消化器内科・外科のほか放射線科とも緊密に連携し、より良い治療を目指しています。

感染対策として、ガイドラインに基づいた洗浄・消毒を徹底

内視鏡治療が多いと感染対策の重要性が増してきますね。

斉藤そうですね。私が2年半前に、大学病院から当院に赴任した時に、当院の内視鏡室での感染対策は進んでいるという印象を持ちました。スコープの本数と洗浄消毒器の台数は十分にあり、メンテナンスもしっかり行われていました。スタッフにスタンダード・プリコーション(標準予防策)の考え方が徹底されており、全例で高水準消毒を実施しているほか、日本消化器内視鏡技師会の「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」に基づいて正確に行われており、患者様はもちろんですが私たち医師も安心して内視鏡の検査・治療が施行できます。ですから、私だけでなく妻も、当内視鏡室で検査を受けました。

内視鏡室を拝見しますと、洗浄消毒器は洗浄室に3台、各検査室に2台配置されていますね。

佐々木平検査室の構造上のこともあり、このように設置しています。グルタラール製剤からフタラール製剤に切り替えたことで、消毒時間を短縮することができ、スコープの洗浄・消毒のために患者様をお待たせすることがなくなりました。地域医療の質の向上のためには、より良い治療を患者様の立場にたって提供することが必要だと思います。

佐々木 夏美子 さん

外来主査内視鏡室責任者・消化器内視鏡技師
佐々木 夏美子 さん

薬液濃度を測定して薬液交換回数を設定

内視鏡の洗浄・消毒について留意されている点を教えてください。

佐々木大事なことは、内視鏡の洗浄・消毒が確実にできているかどうかを確認することです。メーカーから提供されるテストストリップによる消毒剤の濃度チェックを行うだけでなく、より正確な濃度を把握するため、ジョンソン・エンド・ジョンソンに洗浄消毒器ごとに濃度測定をしてもらいました。結果はスコープ2本洗いの時と1本洗いが多い時では、同じ使用回数でもスコープ表面の水の付着量の違いなどから濃度差が生じていました。ただし、いずれも最小有効濃度である0.3 %以上をクリアしていました。その測定結果に基づいて40〜45回使用で薬液交換することにしています。

消毒剤濃度の低下傾向は、同一施設内の同一洗浄消毒器における使用であっても、季節変動による温度環境やスコープの清浄度などの諸条件により異なる場合があります。

斉藤先生、佐々木さん

斉藤その他に、当内視鏡室ではスコープのトレーシングシステムを採用しており、検査から洗浄・消毒までの記録をとっています。スコープごとに番号がついておりまして、どのスコープをどの検査室でどの患者様に使用したかを所見用紙に記載し、検査後は診療時間ほか、洗浄消毒器のナンバー、洗浄消毒時間、消毒剤の使用回数、洗浄者名を記録するシステムです。

万一、内視鏡検査を介した感染が起きたとしても遡って原因を追究できますので、迅速な対応が可能になります。大変優れた感染対策を講じていると思います。

トレーシングシステムを実施された目的をお聞かせください。

佐々木日本消化器内視鏡技師会の「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」を遵守することに加えて、洗浄・消毒の質保証をおこなうことを目的に実施しました。消毒剤の濃度チェックもその一つですが、スコープの洗浄・消毒記録を残すことは、患者様に安全と安心を提供することになります。

その他に、私たちが重要課題にしていることは、スコープの保管庫などの清潔管理です。きれいにしたスコープが汚れてしまったら、洗浄・消毒したことが無駄になるためです。

洗浄・消毒室

洗浄・消毒室

洗浄・消毒の工程だけでなくスコープの保管も感染管理にとって重要で見逃せない点なのですね。

施設の紹介

[画像] 市立旭川病院

市立旭川病院

北海道旭川市金星町1‐1‐65
院長 : 青木秀俊
病床数 : 588 床(一般病床482 床、精神病床100 床、感染症病床6 床)
1日平均外来患者数 : 1,188.6 人(平成18 年度)

市立旭川病院のウェブサイト

消化器内視鏡/検査・診療の概要

年間検査件数 : 8,540 件(平成18 年度)
 (内訳)
  上部消化管 5,218件
  下部消化管 2,599件
  ERCP 723件/p>

スコープ本数 : 33本
 (内訳)
  上部消化管用 : 16本
  下部消化管用 : 13本
  BF用 : 4本

洗浄消毒器設置台数 : 5台
検査ベッド数:3台(他に透視下1台)
医師数: 7名(うち日本消化器内視鏡学会指導医4 名・専門医1名)他研修医
スタッフ数 : 看護師6名(うち消化器内視鏡技師2名)、看護助手1名、受付1名