1. HOME >
  2. 感染管理情報TOP >
  3. 製品関連情報誌 >
  4. 内視鏡関連情報誌 >
  5. 2007年10月 Vol.13

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2007年10月 Vol.13

Practice
内視鏡洗浄消毒器を導入して

三重大学医学部附属病院

この記事のテーマ
  • 耳鼻科
  • ICT活動
  • 製品導入効果
[画像] 三重大学医学部附属病院

伊勢湾を臨む海辺に位置する三重大学医学部附属病院は、県内唯一の特定機能病院として高度な医療を安全に提供するとともに、県の基幹病院として、地域の病院と連携をはかる中心的な役割を担っています。耳鼻咽喉科領域においても、県内から当科を受診する患者様は多く、入院患者の2/3は悪性腫瘍の患者様が占めます。今回は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の副科長・准教授である竹内万彦先生に、ICD(Infection Control Doctor)の立場からみた感染対策の重要性を、病棟看護師長の田中まり子氏、外来看護師の高場雅子氏から、軟性内視鏡の洗浄・消毒についてお話をうかがいました。

スタンダードプリコーションを遵守した感染対策が基本

ICDの立場から感染対策に関する方針を教えてください。

竹内耳鼻咽喉科では、医療従事者が患者の血液や体液に接触する機会も多く、この血液や体液は感染源となりえるものですから、感染対策の重要性はいうまでもありません。私たちはスタンダードプリコーション(標準予防策)を遵守して、必ず手袋を着用し、使用された器材は感染源であるととらえて、洗浄・消毒を実施しています。

竹内万彦 先生

耳鼻咽喉科・頭頸部外科副科長・准教授
竹内万彦 先生

感染対策に関する認識を医療従事者間でどのように徹底させているのでしょうか?

竹内ICT(Infection Control Team)主催による感染対策に関する講演会が定期的に院内で開催されていますのでこの講演会に参加し、院内感染対策マニュアルに目を通すことで、感染対策に関する認識は医療従事者間で共有するようにしています。

臨床現場で行っている感染対策の具体例を教えてください。

竹内診察を始める前には衛生学的手洗い(手指消毒)を行い、診察中は自分の身体の首から上部を手で触らないことが基本です。一処置一手洗いを心がけ、アルコール消毒をおこなっています。また、使用した全てのスコープに関しては、検査後の洗浄と高水準消毒剤による消毒を徹底しています。

洗浄消毒器の導入によって、医療従事者の負担が軽減され、安全性が確保された

内視鏡洗浄消毒器を導入された経緯を教えてください。

竹内以前は、スコープ洗浄後、スコープの先端のみを消毒剤の入った筒型の容器にいれて消毒していました。しかし、スコープの操作部が洗浄・消毒されないという問題があり、スコープ全体を浸漬して洗浄・消毒する必要性を感じていました。そして、洗浄・消毒を確実に行うには、洗浄消毒器を導入したほうが業務効率向上に繋がると考え、外来と病棟に導入することになりました。

田中まり子 氏

病棟看護師長
田中まり子 氏

内視鏡洗浄消毒器を導入したことで、どのような変化がありましたか?

田中処置用スコープの管路(チャンネル)内にも自動的に消毒剤を循環させることが可能になり、より確実な消毒効果が期待できるようになりました。また、これまではスコープの洗浄・消毒を用手法で行っていたため、すすぎなど作業工程にばらつきを生じることが心配でしたが、洗浄消毒器の導入によって、その不安が一掃されました。また、耳鼻科スコープは高額な医療機器である為、漏水検知が自動で行えるのも故障の早期発見に繋がるので助かります。

高場これまでのやり方では、タイマーで消毒剤への浸漬時間を正確に測定していたわけではなかったので、高水準消毒が確実に実施されているかどうか不安を感じていました。今回、内視鏡洗浄消毒器の導入によって確実に消毒できるようになり安心しています。

内視鏡洗浄消毒器の導入によって内視鏡検査の進め方に変化がありましたか?

田中導入前、病棟では全例を洗浄消毒器にかけると、回診時にスコープが不足しないかを心配していましたが、患者の診察の順番を見直し、スコープを使用する患者の診察の間に、スコープを使用しない患者の診察を挟み込むように工夫することで、必要な洗浄・消毒時間が確保できるようになりました。医療従事者同士のコミュニケーションとチームワークのおかげだと思います。

高場外来では洗浄消毒器4台を使用していますが、今のところ診療に支障をきたしたことはありません。内視鏡洗浄消毒器を2台ずつ離れた場所に設置して、6つある診察室を大きく2つに分け診察室の近くにある洗浄消毒器を使うよう工夫しています。スタッフの動線を考えて効率的に配置できていると思います。そして何より先生方が洗浄・消毒の重要性をご理解頂いていることが大きいと思います。

消毒剤のランニングコストはいかかですか?

竹内今回グルタラール製剤からフタラール製剤へ消毒剤を変更しました。診療に支障をきたすことなく、より確実な感染対策を行うためには、5分で高水準消毒が実現できるフタラール製剤でないと現実的に難しいと判断しました。感染対策には必ずコストは伴いますが、感染対策は必要ですし、内視鏡診療の収支の観点からみても消毒剤のコストは問題になりませんでした。

感染予防に対する医療従事者の意識づけをステップアップさせる

現在の感染予防に対する課題があれば聞かせてください。

高場外来では今回消毒に関して見直しをしましたので、次のステップとして洗浄のあり方を考えていきたいと思っています。特にブラッシングを要する処置用のスコープのより効果的な洗浄を目指して取り組んでいきたいと思います。

田中スコープを洗浄消毒器にかける前に前洗浄が必須ですが、血液や体液が付着している汚染されたスコープを扱う際のエプロンや手袋着用方法などを取り決め、スタンダードプリコーションを確実に実施する必要があります。

高場雅子 氏

外来看護師
高場雅子 氏

スタンダードプリコーションを確実に実施していくために必要なことは何でしょうか?

田中ICTの活動によって、スタンダードプリコーションを遵守するという医療従事者間の共通のコンセンサスは得られています。あとは、それを確実に実施できるように、ポスターを作成し注意喚起するなどの現場レベルの工夫が必要です。近年、感染管理に対しての社会的な関心も高まっていますが、感染対策は医療従事者全員の理解と協力が必要ですから継続的に取り組んでいくことが重要だと思います。

最後に一言お願いします。

竹内耳鼻咽喉科領域は消化器内視鏡領域のように洗浄・消毒の指針となるようなガイドラインがなく、各医療機関がそれぞれ独自の判断で洗浄・消毒をおこなっているのが現状だと思います。ただ最近ではICTのような病院組織を横断的に見るチームがつくられ、感染対策も標準化されつつあります。感染対策において耳鼻咽喉科のみが取り残されることがないよう院内の他部署とコミュニケーションを図り、感染対策をさらに推進していきたいと思います。

洗浄・消毒室

外来と病棟に内視鏡洗浄消毒器を導入

施設の紹介

[画像] 三重大学医学部附属病院

三重大学医学部附属病院

津市江戸橋2丁目174番地
院長 : 内田淳正
病床数 : 712床
1日平均外来患者数 : 1,145.9人(平成18年度)

三重大学医学部附属病院のウェブサイト

耳鼻咽喉科外来/軟性内視鏡検査・診療の概要

年間検査件数 : 6,000件

スコープ本数 : 9本
 (内訳)
  観察用 : 7本
  処置用 : 2本

内視鏡洗浄消毒器設置台数 : 4台
診療室:6台
医師数: 13名
スタッフ数 : 3名(うち看護師2名、看護助手1名)

耳鼻咽喉科病棟/軟性内視鏡検査・診療の概要

年間検査件数 : 5,000件

スコープ本数 : 10本
 (内訳)
  観察用 : 8本
  処置用 : 2本

洗浄消毒器設置台数 : 2台
診療室:4台
医師数: 11名
スタッフ数 : 15名(うち看護師14名、看護助手1名)