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  5. 2008年5月 Vol.14

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2008年5月 Vol.14

Practice 色分けシールとパソコンを活用して洗浄・消毒の履歴管理に取り組む

医療法人かりゆし会ハートライフ病院

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 消毒薬濃度管理
  • 製品導入効果

太平洋の大海原が眼下に広がる高台に位置するハートライフ病院は、沖縄本島中南部東海岸の地域中核病院として発展しています。年間1万件を超える内視鏡診療を施行している同院内視鏡センターでは、今年から新しい方法でスコープの洗浄・消毒に関する履歴管理を実施しています。そこで同院内視鏡センターの責任者で消化器内科部長の仲吉朝邦先生と主任・看護師の古波倉美登利さんから、内視鏡センターの特徴のほか履歴管理の意義や方法などについてうかがいました。

医療法人かりゆし会ハートライフ病院

消毒剤の濃度管理のしやすさを重視して洗浄消毒器を選択

内視鏡センターの特徴を教えてください。

仲吉半数は人間ドッグでの内視鏡検査が占めています。経鼻内視鏡を含めて上部内視鏡検査だけで 7000件以上になります。内視鏡手術もESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、EST(内視鏡的乳頭切開術)などに積極的に取り組んでおり、件数は増加しています。また当院は、24時間3次救急医療を担っており、内視鏡的止血術も少なくありません。

内視鏡診療面では、患者さんに安全でかつ安心に検査をを受けていただくように留意しています。安全については、患者さんのほか、スタッフへの職業感染対策も重視しています。

仲吉朝邦先生の写真

内視鏡センター長
仲吉朝邦 先生

安全対策の一つとして洗浄・消毒について方針をお聞かせください。

古波倉消化器内視鏡技師会の「洗浄・消毒に関するガイドライン(第2版)」を遵守して、3名の洗浄要員(看護助手)だけでなく7名の看護師も含めて全員が同じレベルできちんと洗浄・消毒ができるように努めています。年に1回くらい、全員が初心に戻ろうという気持ちで、予備洗浄から手順を追って洗浄・消毒方法の見直しをしています。

スタッフ間で情報を共有していくことも重要視しています。内視鏡や感染に関する学会や内視鏡技師会の研究会などに参加して得た情報をもとに、自施設で何が改善できるかを話し合っています。現状に満足せずに常に何かを変えていくべきだと考えています。

仲吉原則として月1回くらい、医師とスタッフで合同ミーティングをしているほか、日頃からオープンに話し合っているのも、当内視鏡センターの特徴といえます。昨年、洗浄消毒器を新しい機種に更新したときも各メーカーの説明を医師もスタッフと一緒に聞いて、話し合って決めました。

洗浄消毒器の機種選択で重視した点は何でしたか?

古波倉消毒剤の濃度管理のしやすさがポイントでした。自分たちがきちんと予備洗浄しても洗浄消毒器の消毒剤濃度が不十分だと意味がなくなります。濃度が比較的安定しているフタラール製剤を使用していますが、定期的にメーカーの濃度測定サービスを利用して、洗浄消毒器毎の消毒剤の濃度を数値で測定できる点が決め手になりました。また、その結果をもとに消毒剤交換回転数を決めています。

シールに記入した情報をパソコンに入力して履歴管理

洗浄・消毒の履歴管理に取り組まれている施設が増えています。

古波倉当院でも今年から実施しています。濃度管理に重きをおいたのも、履歴管理の中で必要な項目だからです。昨年、洗浄消毒器を更新したときも履歴管理への取り組みを視野に入れ、濃度管理がしやすい機種を選定しました。しかし、ガイドラインには履歴管理方法は記載されておらず、学会発表や本誌「ニューススコープ」の情報などを参考にして、自施設でできる方法を考えました。そして更に、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の協力を得て同社で開発中の履歴管理ソフトを使用することにしました。

古波倉美登利さんの写真

内視鏡センター主任・看護師(消化器内視鏡技師)
古波倉美登利 さん

現在、実施している履歴管理手順を教えてください。

古波倉以下の手順でおこなっています。

  1. 洗浄担当者がスコープを洗浄消毒器に掛けるとき、洗浄消毒器に貼ってあるシールに、(1)洗浄担当者の名前、(2)スコープ No.、(3)洗浄日を記入します。シールは市販のもので、3台の洗浄消毒器毎に赤、黄、緑と色分けしています。(ページ下の写真参照)
  2. 消毒が終わって、洗浄消毒器からスコープを取り出すときに表示された(4)消毒回数をシールに追記します。
  3. 洗浄・消毒が終わったスコープの操作部に、記入したシールを貼付して、保管庫へ収納するか、検査室へ持って行きます。(ページ下の写真参照)
  4. 内視鏡検査時に、医師が複写の所見用紙の2枚目にスコープ操作部のシールを貼り替えます。
  5. 1日の検査が終了した後に、各洗浄消毒器のデータをパソコンに表示します。シールが貼られた所見用紙と照合しながら、所見用紙に記された患者さんの名前とID番号とスコープNo.、シールの記入内容をパソコンに入力します。(ページ下の画面参照)

色分けしたシールと開発中の履歴管理ソフトを使った感想をお聞かせください。

古波倉シールに記入する作業は手間ではありませんが、間違った洗浄消毒器の回転数を書き込む可能性もありますので、洗浄消毒器から自動的にパソコンに送られた情報と照合して見直すことができます。また、使い勝手の面では、開発中のソフトでもあるため、今後の改良も期待しています。

履歴管理をはじめたことについて、内視鏡センターではどのように捉えていますか?

仲吉履歴管理の取り組みにより、目的である患者さんに対する洗浄・消毒の質の保証になるだけでなく、洗浄・消毒するスタッフの感染管理に対する意識が向上したことがあげられます。自分の名前を書き、履歴をつけることで更に自信を持って洗浄・消毒を行ったスコープを患者さんに提供できるようになったと思います。また、内視鏡センターでこのような履歴管理を実施していることを、軟性内視鏡を使っている耳鼻咽喉科にも応用ができるほか、院内にアピールすることによって院内感染対策への意識向上に貢献したいと思います。

シールに記入した情報をパソコンに入力して履歴管理している様子の写真

洗浄消毒器毎に色分けしたシールに、
1. 洗浄担当者の名前
2. スコープNo.
3. 洗浄日
4. 洗浄回数
を記入

スコープの操作部に記入したシールを貼付している様子の写真

スコープの操作部に記入したシールを貼付

履歴管理洗浄記録表の画像

5. 画面 履歴管理洗浄記録表
これは、ジョンソン・エンド・ジョンソンが現在、開発中のソフトで、洗浄消毒器が保有する運転履歴データに検査終了後の所見用紙データを付帯情報として入力