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  5. 2008年5月 Vol.14

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2008年5月 Vol.14

施設レポート 高水準消毒剤の濃度管理に関する試み

京都大学医学部付属病院・医療器材部 臨床工学技士・消化器内視鏡技師 新田 孝幸 さん

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 消毒薬濃度管理
  • 製品導入効果

内視鏡の洗浄・消毒に関する履歴管理をおこなうために欠かせない条件として、高水準消毒剤の濃度管理があげられます。京都大学医学部附属病院・内視鏡部でも、早くから消毒剤の濃度チェックをおこなっていますが、同院医療器材部の臨床工学技士・消化器内視鏡技師の新田孝幸さんから、現状の濃度管理方法に関する課題とメーカーへ期待することについてうかがいました。

京都大学医学部付属病院・医療器材部

薬液の濃度が有効濃度に保たれていることをチェックして交換

京都大学医学部附属病院・内視鏡部では、高水準消毒剤としてフタラール製剤を使用しています。薬液の有効濃度が維持された状態で適切に消毒されていることを確認するため、洗浄消毒器毎にHPCLによる濃度測定サービス(以下、HPCL)をジョンソン・エンド・ジョンソンに依頼するとともに、テストストリップを使って濃度チェックをおこなっています。同部で勤務されている新田さんは、「当院の洗浄消毒器(エンドクレンズ®)を使って導入当初に行ったHPCLの結果では、40回転ほど使用しても、フタラール製剤の最小有効濃度である0.3%を上回っていましたが、エンドクレンズ導入直後より、洗浄消毒回数にかなりの余裕を持って毎週火曜日に消毒剤の交換を行っています。その結果、今までのところ、有効濃度を下回ったことはありません。最小有効濃度ぎりぎりまで消毒剤を使用して、万一感染が起きたら大変です。コスト面だけを考えてまだまだ使えるといった意識で、患者さんにリスクを負わせるようなことは、あってはならないことだと思います。」と言われました。

HPCLとテストストリップの長所を活かすフタラール製剤の濃度モニター

新田さんは、HPCLとテストストリップについて各々長所と短所があると指摘されます。「HPCLは、濃度が数値で表示され、客観的に精度が高い反面、結果が出るまで搬送を含め時間を要しますので、洗浄消毒時の薬液濃度が有効であったかどうか、その場で知ることはできません。一方、テストストリップは直ぐに結果がでますが、テストストリップの劣化等による誤差が生じる恐れや、判定者の主観的判断による誤差もあり、客観性に欠けます。」

テストストリップによる精度のバラツキや主観的判断を排除する方法として、客観的に濃度測定できる濃度モニターの開発が、新田さんをはじめ多くの消化器内視鏡技師の方々から望まれています。そこで、ジョンソン・エンド・ジョンソンで開発中の濃度モニターについて、その試作器を同内視鏡部で試してもらいました。その結果「HPCLにある程度近い精度で、器械がその場で判定してくれる意義は大きいと実感しました。将来的には、濃度モニターが洗浄消毒器に組み込まれることを期待しますが、HPCLとテストストリップの短所を補って長所を採り入れた、という点で現在のところ最適な方法しょう。現在の試作器から、実際に医療現場でも使用できるような製品の一日でも早い開発を期待しています。」との評価をいただきました。

濃度モニター(試作器)試用風景

フタラール製剤の濃度測定サービスを利用した取り組み写真1

洗浄消毒器から薬液を採取

フタラール製剤の濃度測定サービスを利用した取り組み写真2

フタラール製剤の濃度測定サービスを利用した取り組み写真3

採取した薬液を濃度モニター(試作器)に入れると結果が表示される。

フタラール製剤の濃度測定サービス

ジョンソン・エンド・ジョンソンではディスオーパ®消毒液0.55%、サイデックスプラス®28 3.5%液をご使用いただいている施設に濃度測定サービスを提供しています。
今回は、測定を行っている須賀川事業所でのディスオーパの測定風景と濃度測定サービスを利用した施設での取り組みについてご紹介します。

1. 弊社試験室に施設から測定サンプルが送付されてきます。

1. 弊社試験室に施設から測定サンプルが送付されてきます。

2. サンプルを調整後、測定機器*にかけます。 *HPLC(高速液体クロマトグラフ)とは、試料中の各成分の含有量を測定する機器です。

2. サンプルを調整後、測定機器*にかけます。
*HPLC(高速液体クロマトグラフ)とは、試料中の各成分の含有量を測定する機器です。

3. 測定が開始され、測定結果が画面に表示されます。

3. 測定が開始され、測定結果が画面に表示されます。

4. このようにして、測定されたデータをもとに結果報告書が作成されています。

4. このようにして、測定されたデータをもとに結果報告書が作成されています。

フタラール製剤の濃度測定サービスを利用した取り組み

フタラール製剤の検体を濃度測定した結果を内視鏡の洗浄・消毒管理のエビデンスとして活用する施設が増えています。千葉県北総地域の中核病院・成田赤十字病院でも消化器内視鏡室で薬液濃度測定サービスを活用しており、内視鏡室スタッフの皆様に濃度測定サービスの活用方法についてお伺いしました。同院は救急医療・急性期医療体制が充実しており、内視鏡室においても常時救急対応するスタッフを配置して、内視鏡室スタッフの感染ワーキングメンバーと院内感染対策チームが連携して軟性内視鏡の洗浄・消毒を含めた感染管理の徹底をはかっています。

フタラール製剤の濃度測定結果をどのように利用されていますか?

以前より濃度測定を実施しており、その結果をもとに、消毒薬の交換回数を決めています。限られたスコープを効率良く洗浄・消毒しながら、検査や治療を行うことが必要ですが、そのために消毒剤の濃度管理でエビデンスを持っていることは非常に重要です。消毒剤をぎりぎりの濃度まで使うのではなく、ある程度の余裕をもった交換回数を設定していますし、洗浄・消毒記録とともに保管し提出できる態勢を整えています。

定期的に濃度測定サービスを利用されていますね。

そうです。1年に2回ほど利用しています。同じ洗浄消毒器で濃度測定結果を比較し、洗浄消毒器自体にも問題がないかどうか確認できます。また今後、洗浄消毒器が劣化してきた場合にも、その傾向が把握できると思います。また、定期的に濃度測定結果が出ることにより、スタッフが洗浄・消毒の意義を再確認する機会にもなっています。

成田赤十字病院外観/成田赤十字病院の皆さんの写真

成田赤十字病院

院長 : 加藤 誠
病床数 : 719床
年間内視鏡検査件数:
(平成19年度)
上部消化管 約5,500件
下部消化管 約2,000件