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内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2008年10月 Vol.15

特別インタビュー 「内視鏡室の感染対策に関する自己調査」の意義と「履歴管理」の必要性について

第61回 日本消化器内視鏡技師学会長 岡本 澄美子 さん

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 消毒薬濃度管理

今年10月に香川県高松市で開催される第61回日本消化器内視鏡技師学会で学会長を務める岡本澄美子さん(四国消化器内視鏡技師会長・香川労災病院内視鏡室)から、四国消化器内視鏡技師会がおこなっている「内視鏡室の感染対策に関する自己調査」の意義、およびその自己調査でも重視している「履歴管理」の必要性などについて伺いました。

第61回 日本消化器内視鏡技師学会長 岡本 澄美子 さん

洗浄・消毒を自己チェックして見直してもらいたい

はじめに四国消化器内視鏡技師会が2006年より日本消化器内視鏡技師会の承認を得て実施している「内視鏡室の感染対策に関する自己調査」の現況を教えてください。

岡本2008年4月から、第3期目の自己調査登録を開始して8月末で締め切りました。一昨年実施した第1期は参加登録が103施設(うち有効登録63施設)、昨年の第2期は参加登録46施設(うち有効登録27施設)でした。第3期はまだ集計中です。また、自己調査結果、ガイドラインを遵守したことを証明する修了証明書を発行して認定された施設は第1期が15施設、第2期12施設でした。

岡本澄美子さんの写真

四国消化器内視鏡技師会長
香川労災病院内視鏡室
岡本澄美子 さん

自己調査参加登録が第2期で減ったのはなぜでしょうか?

岡本四国消化器内視鏡技師会のホームページで自己調査のページにアクセスした訪問者総数(各8月末まで)は第1期が4,135件でしたが、第2期は4,487 件とやや増えています。自己調査に対する関心は変わらないものの参加登録施設数が減ったのは、参加登録への動機が変わったのではないかと思っています。自己調査のページに掲載されている調査項目をみて認定される自信がないために登録されなかったこともあるのだろう、と推測します。

認定されることを目的に自己調査の参加登録をする傾向になった、ということですね。

岡本恐らく、そうだろうと思います。自己調査は、まず、自施設での洗浄・消毒が日本消化器内視鏡技師会のガイドラインを遵守しているかどうかを自己チェックして見直してもらうことが趣旨であることを、もっと啓発すべきだと反省しています。

参加登録すれば自施設の改善に役立つ

あらためて、自己調査の目的をお伺いします。

岡本3つの目的があります。本誌Vol.12でも紹介したように、全国の内視鏡室での感染対策意識の統一化と質の標準化が一つ目の目的です。二つ目は、感染対策が適切におこなわれている施設に正当な評価を与えること、三つ目は、感染対策は患者さんへ安全な内視鏡検査を提供するためにあることから、一般市民に内視鏡室の感染対策について公表していくことにあります。

とくに、病院機能評価Ver.5を受審しようとしている施設は、この自己調査をクリアしていれば問題はありません。実際に受審した施設から、自己調査に参加登録して見直したために、サーベイヤーから指摘を受けることはなかった、と聞いています。したがって、この自己調査は、病院機能評価Ver.5受審のためにも有効なツールになると思います。

自己調査結果をみますと、ガイドラインを遵守していない施設も少なくないようですね。

岡本参加登録した施設の98.5%は高水準消毒をおこなっています。各種の調査をみてもガイドラインを遵守しているという施設も7割を超えています。しかし、ガイドラインを遵守しているといっても客観的にチェックする項目がなかったこともあって、この自己調査を実施しました。調査項目によってチェックすると、習慣や思い込みでおこなっていたことに気がつくこともあるようです。参加登録してチェックすれば、第三者の視点でアドバイスをいたしますので、自施設での改善に向けて役立ててもらいたいと思います。

質保証のための履歴管理の普及と標準化が課題

自己調査のチェック項目にもある「履歴管理」についてお考えをお聞かせください。

岡本日本消化器内視鏡技師会の活動によって日本の内視鏡室の感染対策レベルは大きく向上したことは間違いありません。今後は、洗浄・消毒に関するガイドライン普及活動に続いて、質を保証していくことが課題になっているという時代認識をしています。その質保証をするための行為が履歴管理になります。

履歴管理をおこなう前に、洗浄・消毒そのものがガイドラインを遵守していなければ履歴管理の意味はありません。そのためには、自己調査の項目をチェックして自施設の洗浄・消毒を振り返ってみる必要があるでしょう。したがって、自己調査と履歴管理は切り離せないものだといえます。

第1期の自己調査では履歴管理の遵守率は高くなかったですね。

岡本「洗浄・消毒記録がある」施設は38%と低かったのですが、第2期、第3期では遵守率は上がってきています。自分たちが洗浄・消毒した記録がなければ洗浄・消毒したことを証明できない、という意識が高まってきたのだろうと思います。今年、インスリン注射針の使い回しが発覚して報道されましたが、厚生労働省は過去に遡って報告することを求めています。記録がなければ、使い回しをしていないという証明になりません。同じことが内視鏡室の洗浄・消毒にもいえるでしょう。

履歴管理の項目については、どのようにお考えですか?

岡本施設の事情によって項目は異なります。たとえば、内視鏡洗浄消毒器が一台しかない施設では、使用洗浄消毒器を示す必要はありません。ただし、欠かせない項目は、高度水準消毒薬の濃度チェックです。薬液濃度が低下した状態で消毒しては意味がありませんから、テストストリップで濃度をチェックして、濃度が低下する前に薬液を交換しなければなりません。

自己調査結果をみると、履歴管理をしていても薬液濃度チェックをしていない施設もありますので、今後は、履歴管理の普及とともに履歴管理項目の標準化が大きな課題になります。

日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会による訪問調査について

「内視鏡室の感染対策に関する自己調査」の結果、認定されたレベル3 以上の施設のなかで、希望施設には安全管理委員会が委託した訪問調査委員が訪問調査を行います。その結果を判定して「感染管理実施認定書」が発行されます。そこで、施設訪問されている日本消化器内視鏡技師会・安全管理委員長の佐藤絹子さんから、訪問調査の状況などについてコメントしてもらいました。

佐藤インターネットを使った自己調査とともに、第三者である私たちが現場の確認をする意義は大きいと思います。病院機能評価機構の訪問調査と同様に、現場では具体的な指摘はおこなわず、調査後に報告書を提出して改善を求めています。訪問した施設は、スタッフの皆さんだけでなく、医師や病院幹部の方々も一緒に訪問調査を受け入れていただいています。認定書を内視鏡室に掲示して患者さんに安心して検査を受けていただく効用のほか、訪問調査自体が病院内に内視鏡室の感染対策をアピールする良い機会になり、日々の感染対策への取り組みが評価されることは内視鏡で働く皆さんの励みと喜びにつながっていると感じています。

佐藤絹子さんの写真

施設の紹介

独立行政法人 労働者健康福祉機構
香川労災病院

香川県丸亀市城東3-3-1

香川労災病院外観