1. HOME >
  2. 感染管理情報TOP >
  3. 製品関連情報誌 >
  4. 内視鏡関連情報誌 >
  5. 2009年5月 Vol.16

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2009年5月 Vol.16

Practice 独自に作成した手書きの用紙で洗浄・消毒の履歴管理に取組む

川崎医科大学附属病院

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録

岡山県倉敷市に昭和48年に開設した川崎医科大学附属病院は、特定機能病院および地域がん診療連携病院として、地域の医療機関と連携しながら、高度先端医療を推進しています。同院の内視鏡・超音波センターでも、最新の機器を使って高度な診断・治療をおこなっています。そこで、食道・胃腸内科部長・教授の春間賢先生から同センターでの診療上の特徴などをうかがいました。また、感染管理の一環として、内視鏡の洗浄・消毒履歴管理用紙を独自に作成した同センターの看護師・消化器内視鏡技師の河上真紀子さんから、その内容と運用方法をうかがいました。

川崎医科大学附属病院

内視鏡と超音波を使って、早く確かな診断をおこなっている

内視鏡・超音波センターという名称は珍しいですね。

春間海外ではよくある名称です。私が留学していたドイツでも「内視鏡・超音波センター」となっていました。当センター名は、平成19年8月に中央検査部でおこなっていた超音波検査を移し、従来の内視鏡検査・レントゲン検査とともに施行するようになったことによります。消化器センターとは別組織になっていますが、医師は共通して対応しています。

春間賢先生の写真

食道・胃腸内科部長・教授
春間賢先生

内視鏡検査と超音波検査が同一センター内で施行できるメリットをお聞かせください。

春間内視鏡検査の依頼を受けても、患者さんの状態が悪かったり、出血されている場合などは超音波でまず診断して、部位を同定することができます。患者さんにとっては移動する必要がなく、また当センターの超音波診断レベルは高く、早く確かな診断ができます。とくに出血している患者さんは早急に対応する必要がありますので、優れた機能を有するセンターだといえます。

レントゲンによる造影診断もできますので、消化器に関するほとんどの診断ができることになります。ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)などの他、ダブルバルーン小腸内視鏡検査もおこなっていますので、その場合でも造影や超音波検査が入ってきます。

その他、診療面の特徴をお聞かせください。

春間電子内視鏡、超音波内視鏡、拡大内視鏡など最新の内視鏡機器による消化器系と呼吸器系の内視鏡検査と各種の内視鏡的治療、そして体外式超音波検査による非侵襲的診断と消化管の運動機能検査もおこなっています。

当センターは、教育施設としても研修医にとっては幅広い知識や手技が学べる場だと思います。

内視鏡の洗浄・消毒をはじめとする感染対策についてお聞かせください。

春間当センターの感染対策については、消化器内視鏡技師の資格を持つ河上真紀子さんを中心におこなっています。消化器内視鏡技師会の「洗浄・消毒に関するガイドライン」を遵守しておこなっているほか、コメディカルだけでなく、医師、研修医に対しても教育指導をしてくれていますので、安心しています。

次の患者IDも記入する履歴管理用紙を作成した

内視鏡の洗浄・消毒に関する現在の取組み例をお聞かせください。

河上洗浄・消毒の履歴管理を2007年10月から開始しました。以前、クロイツフェルト・ヤコブ病の疑いのある患者様が報告された時に、その患者様が内視鏡検査をした場合に、その内視鏡を次にどの患者様に使用したかわからない状況にあることに気がついたことが契機でした。それで対策を考えていたときに、日本消化器内視鏡技師会で履歴管理の重要性が議論されるようになり、各ご施設が学会で発表された履歴管理方法を参考にして当院で実行できる独自の「洗浄・消毒履歴管理用紙」を作成しました。

河上真紀子さんの写真

内視鏡・超音波センター看護師
(消化器内視鏡技師)
河上真紀子さん

どのような内容の履歴管理用紙ですか?

河上当院ではすべてをIT化して履歴管理を実施することは難しかったので、手書きの管理用紙(表参照)を作成しました。

履歴管理項目については、最小限にしました。①検査日時、②検査を受けた患者様のカルテNo、③使用した内視鏡番号、④洗浄開始時間、⑤ 使用した洗浄消毒器のNo、⑥洗浄・消毒した担当者名、⑦使用した洗浄消毒器に設定した工程No、⑧洗浄・消毒した内視鏡を使用する患者様のID、⑨備考欄、という項目です。備考欄には、洗浄消毒器で漏水検知された場合などを記載します。

次の患者IDを記入する点がユニークですね。

河上もし、交差感染が疑われた場合に、その患者様がどの内視鏡を使用したか、またその内視鏡の使用履歴が明確になるためです。

「洗浄・消毒履歴管理用紙」の使い方を教えてください。

河上以下の手順で運用しています。

  1. 検査時に看護師が、①検査日時、②カルテNo、③内視鏡番号を記入します。
  2. 検査終了後、看護師が内視鏡とともに用紙を洗浄室に持ってきます。
  3. 洗浄員が、一次洗浄をした内視鏡を洗浄消毒器にセットする際に、④洗浄開始時間、⑤洗浄器No、⑥洗浄員名、⑦洗浄工程を記入して、洗浄消毒器に貼り付けます。
  4. 洗浄・消毒が終了した内視鏡の操作部に記入済みの用紙を貼って保管します。(写真参照)
  5. 次の患者様の検査を施行する際に、用紙を貼ったままの内視鏡を検査室に運び、⑧これから検査を受けられる患者様のIDを記入します。その際に未記入の新しい用紙を用意して、手順 1に戻ります。
  6. 次の患者様のIDまで記入を終えた用紙を回収し、1日の検査終了後にパソコンに入力します。

実際に運用された感想をお聞かせください。

河上看護師、洗浄員とも、きちんと記入してもらっています。とくに、洗浄員である看護助手は自分の名前を書くことにより、責任感が強くなったように感じます。

しかし、1日35件〜60件の内視鏡検査を施行する当センターでは手書きによる履歴管理は業務への負担になることは事実です。患者IDの書き違いといったヒューマンエラーの問題もあります。そこで、昨年10月にジョンソン・エンド・ジョンソン社製の履歴管理システム『プロセスモニター』を試用してみました。その結果、洗浄消毒器No、内視鏡番号、洗浄員名をバーコードで読み取ることができるなど、正確な履歴管理を実施することができます。また、手書きする業務負担が大幅に軽減し、「パソコンへの入力」も不要になりました。今後、検討していきたいと思っています。

洗浄・消毒履歴管理用紙

表:洗浄・消毒履歴管理用紙

洗浄消毒器の背後に設置した換気ダクト

洗浄消毒器の背後に設置した換気ダクト

施設の紹介

川崎医科大学附属病院

〒701-0192 山県倉敷市松島577

  • 院長 : 角田司
  • 病床数 : 1,182床

川崎医科大学附属病院外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

  • 内視鏡検査・治療件数:9,531件(平成20年)
    (内訳)
     上部消化管検査 5,425件
     上部消化管治療など 1,016件
     下部消化管検査 2,436件
     下部消化管治療など 307件
     気管支鏡 251件
     その他 96件
  • スコープ本数:40本
    (内訳)
     上部消化管用 30本
     下部消化管用 10本
  • 洗浄消毒器設置台数:6台
  • 内視鏡検査室5室、超音波検査室6室、X線TV室1室
  • 医師数:22名
  • スタッフ数 :
    看護師3名(うち消化器内視鏡技師1名)、看護助手2名

川崎医科大学附属病院 スタッフのみなさん

前列左から
鎌田智有先生、河上真紀子さん(看護師)、春間賢先生、畠二郎先生、塩谷昭子先生、楠裕明先生
後列左から
石井学先生、今村祐志先生、山下直人先生、松本啓志先生、垂水研一先生、宗近優美子さん(看護師)、小川なみさん(看護師)、高杉幸枝さん(看護師)、井上勝美さん(看護助手)、三宅令子さん(看護助手)