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  5. 2009年5月 Vol.16

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ASPジャパン 〜2009年5月 Vol.16

施設レポート レイアウト変更による内視鏡室の環境改善
京都大学医学部附属病院・内視鏡部 臨床工学技士 新田孝幸さん・樋口浩和さんに聞く

京都大学医学部附属病院・内視鏡部

この記事のテーマ
  • 内視鏡室レイアウト
  • 業務改善

内視鏡に関連する感染対策は、内視鏡の洗浄・消毒に限らず、内視鏡室全体で考えることが重要であることは「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドライン」にも示されています。京都大学医学部附属病院では、このほど内視鏡室のレイアウトを変更して、洗浄・消毒環境および院内軟性内視鏡の管理の改善をはかりました。その趣旨や経緯、レイアウト変更点などを臨床工学技士・消化器内視鏡技師の新田孝幸さんと樋口浩和さんにうかがいました。

京都大学医学部附属病院・内視鏡部

分散していた洗浄コーナーを一本化し、安全性を確保しつつ、管理しやすいレイアウト変更を行った

このほど内視鏡室のレイアウトを変更された主な理由をお聞かせください。

新田以前のレイアウトでは、一次洗浄を行うための洗浄コーナーが消化器と呼吸器で分かれており、さらに内視鏡保管庫の位置が患者動線側にあるなど、管理が非効率で安全面にも少し疑問がありました。そこで内視鏡機器の更新に伴い、安全性を確保しつつ効率的で管理しやすいレイアウトに変更することになりました。

また、今回の更新で院内の軟性内視鏡(以下:内視鏡)を洗浄・消毒を含めて一元管理することになったのですが、以前の洗浄コーナーの位置では、各検査室内か前処置室を通って、その奥にある洗浄コーナーに運ばなければならず、他科内視鏡の洗浄消毒運用が難しい状態だったこともレイアウトを変更した理由の一つです。

新田孝幸さんの写真

臨床工学技士・消化器内視鏡技師
新田孝幸さん

他科の内視鏡というと、どの診療科の内視鏡を洗浄・消毒していますか?

樋口婦人科の内視鏡は手術室で管理することになりましたが、それ以外、現状の消化器科、呼吸器科に加え、泌尿器科、耳鼻咽喉科の内視鏡を内視鏡部で洗浄・消毒することになりました。呼吸器と胆・膵系の内視鏡診療は、消化器内視鏡検査室に隣接した透視室でおこないますが、泌尿器科と耳鼻咽喉科の内視鏡は階下の外来診察室から運んでこなければなりません。

洗浄スタッフと患者さんの動線と洗浄・消毒する内視鏡の動線を考慮した

レイアウトを変更する際に、留意した点をお聞かせください。

新田内視鏡室全体のレイアウトとして、洗浄スタッフの動線が患者さんの動線と交差しないように考慮しました。これまでは、細長い洗浄コーナーを他のスタッフとぶつからないようにしながら内視鏡を清潔に運ぶのはなかなか困難な作業でした。また保管庫の内視鏡を出し入れする場合、どうしても患者さんの動線を通らなければなりませんでした。したがって、一カ所で集中して洗浄・消毒ができ、患者さんの動線と交差しないように内視鏡保管ができることをレイアウト設計の最優先事項としました。

樋口それで、図1の通り、洗浄コーナーを消化器内視鏡検査室と透視室の中間に設計し、保管庫を各検査室の後ろ側に配置しました。そうすることで患者さんの動線と交差せず、内視鏡の運搬ができるようにしました。また、泌尿器科と耳鼻咽喉科の内視鏡も検査室内や前処置室を通ることなく運べるようになりました。

樋口浩和さんの写真

臨床工学技士・消化器内視鏡技師
樋口浩和さん

洗浄室内のレイアウトでも動線を考慮されたのですか?

井上そうです。図2の通り、不潔ゾーンと清潔ゾーンを分け、内視鏡の流れを一方方向にしました。①使用済の内視鏡を洗浄コーナーへ運び入れる洗浄前の流れ、②一次洗浄後から洗浄消毒器へセットするまでの流れ、③洗浄・消毒後に検査室へセットするまで流れ、を作った点が特徴です。

現在の履歴管理手順を教えてください。

新田内視鏡検査の受付時に、診察券の患者さんのID番号をスコープと対にして検査室から洗浄室に持っていきます。洗浄室でスコープを洗浄消毒器にかける際に、洗浄担当者が患者さんのID番号をハンディターミナルに打ち込みます。洗浄消毒器、スコープ、洗浄担当者はバーコード化されていますので、ハンディターミナルでバーコードを読み込むだけです。パソコンのクリック操作で洗浄消毒器の運転履歴データを取り込むと、ハンディターミナルで入力したデータと洗浄消毒器のデータがパソコンのデータベース上で統合されます。このような手順となったおかげで履歴管理に関する作業が随分簡略化されました。

樋口また、洗浄コーナーの洗浄消毒器の背後には、高水準消毒剤による曝露を防ぐために換気ダクトを設けました。洗浄スタッフの安全性を考慮した対策ですが、予算が限られていたので、既存の設備を有効に活用しました。

換気ダクト

洗浄消毒器の背後に設置した換気ダクト

他の診療科、ICT、看護部との協力態勢を作って申請した

内視鏡一元管理化や内視鏡室のレイアウト変更を病院に申請して、承認を得るための要領をお聞かせください。

新田消化器科単独での申請では承認を得ることは難しいでしょう。そこで、他の診療科と共同で安全性の向上をアピールする必要があります。また、ICTや看護部ともよく相談して、協力態勢を作ることも不可欠です。また、内視鏡は高水準消毒をしてリユースする医療機器ですので、しっかりと管理しなければ感染の確率が高くなることを訴えて、一元管理化がいかに重要かを説得することも大切でしょう。

樋口事務方に説得する場合、ただ“忙しい”からと訴えても聞いてもらえません。検査件数や作業時間などを記録して定量化したデータを提示しなければなりません。当院では、内視鏡室は勿論ですが、泌尿器科と耳鼻咽喉科でも手書きの洗浄消毒記録を集計し、実際の検査件数、洗浄消毒に要する作業時間などを定量化し説得材料にしました。

最後にレイアウトを変更した感想をお聞かせください。

新田洗浄コーナーを、日当たりが良い東南の角部屋に設置しましたので、洗浄スタッフには好評です。

樋口業務する場所が明るくなると洗浄スタッフのモチベーションも上がりますし、それが感染管理意識の向上に繋がるように感じています。

洗浄コーナー

東南角部屋に位置する洗浄コーナー

図1 内視鏡室レイアウト 変更前、変更後

図1 内視鏡室レイアウト 変更前、変更後

図2 洗浄コーナー

図2 洗浄コーナー

施設の紹介

京都大学医学部附属病院

京都市左京区聖護院川原町54

  • 院長 : 中村孝志
  • 病床数 : 1,182床

京都大学医学部附属病院外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

  • 年間検査件数:7,908件(平成20年度)
    (内訳)
     上部消化管 4,879件
     下部消化管 2,153件
     超音波内視鏡 154件
     ERCP 380件
     気管支鏡 342件