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内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2009年10月 Vol.17

施設レポート 医療の質のさらなる向上に向けた内視鏡検査室の取り組み

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 病院機能評価
  • 製品導入効果

亀田総合病院は、千葉県鴨川市に位置する亀田メディカルセンターの中核施設です。千葉県南部の基幹病院として地域医療における重要な役割を担うと同時に、ISO9001の認証や病院機能評価機構の認定を受け、2009年8月には国際医療機能評価のJCI(Joint Commission International)の認証に国内で初めて合格し、医療の質の向上にも取り組んでいます。そこで、同院の内視鏡検査室の副室長を務める富永和宏さんに、内視鏡検査室におけるJCI受審へ向けた取り組みと安全管理についてお話をうかがいました。

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

ディスオーパ®モニター導入で、消毒の質を保証

非常に規模の大きな病院ですね。

富永近隣に大きな病院がありませんので、立地上、必然的に当院へ患者さんが集中してきます。亀田メディカルセンターは亀田クリニック(外来・人間ドック)と亀田総合病院に内視鏡検査室が分かれており、総勢21名のスタッフで内視鏡検査・治療を行っています。そのうち、私が主に勤める亀田総合病院の内視鏡検査室のスタッフは9名です。対象となる入院患者さんは外来患者さんとは異なり、患者さんの情報が予めわかっていますから、検査の後で感染が発覚するということはほとんどないのですが、内視鏡の洗浄・消毒については外来患者さんの場合と同じように入念に行っています。当院では、7〜8年前から、全例に用手洗浄後、洗浄消毒器を使用して内視鏡の洗浄・消毒を行ってきました。

富永 和宏さんの写真

内視鏡検査室 副室長
富永 和宏さん

内視鏡の洗浄・消毒に使用する消毒薬の濃度管理について教えてください。

富永当内視鏡検査室では9名のスタッフ全員が1人ずつ、週替わりで洗浄を担当しています。スコープの洗浄には洗浄消毒器(エンドクレンズ®)を使用しています。洗浄消毒器導入時にジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社に使用回数別に消毒薬のサンプルを採取し、その濃度を測定してもらいました。その結果に基づき洗浄消毒器の使用限度回数(消毒薬交換時期)を決めていました。これに加えて、不定期にテストストリップでの濃度チェックを行っていました。しかし、テストストリップによる判断はチェックする側の主観に左右されてしまうことが問題でした。テストストリップによるチェックは濃度判定の目安にはなりますが、より確実な濃度管理を行う必要があると常々感じていました。そこでこのたび、ディスオーパ®モニターが発売されたことを知り、病院機能評価Ver.6.0とJCIの受審に向けた準備にもなると考え、導入しました。

ディスオーパ®モニターでは、消毒薬の濃度の濃淡がメータで表示されますので、洗浄するスタッフの誰が見ても同じ判断ができ、確実な濃度管理ができるようになりました。洗浄消毒器の使用回数が少ない時は毎朝1回のチェックで十分ですが、30回を超えてからは、午前と午後の1日2回チェックするようにしています。洗浄消毒器ごとに濃度管理の用紙を準備して、使用回数、ディスオーパ®モニターで表示される濃度メータの数などを記入しています。その他に全管路消毒や水フィルター交換を行った際のチェック欄も設けています(表参照)。濃度管理を始めてから、内視鏡の洗浄・消毒を確実に行うことができているという安心感が増し、消毒の質を保証できるようになりました。また、消毒薬の濃度が急激に低くなってしまう場合などには洗浄消毒器のトラブル発生が考えられます。ディスオーパ®モニターで日々濃度チェックをすることは、洗浄消毒器のコンディションを確認しながら使用することにも繋がりますから、結果的に良いコンディションで洗浄消毒器を使用できるようになったとも言えます。洗浄消毒器のコンディションを最適に保っておけば、安全な洗浄・消毒ができるだけでなく、 消毒薬の交換も最適化することができ経済的なメリットも得られます。今後は、ディスオーパ®モニターが洗浄消毒器に一体化され、毎回でも容易に濃度判定ができるようになればと思っています。

内視鏡洗浄管理表Ver2-2のイメージ

内視鏡洗浄管理表Ver2-2

国内初のJCI認証取得

病院機能評価Ver.6.0、JCIも受審されたそうですね。

富永病院機能評価Ver.6.0の受審に向けて、当内視鏡検査室でも環境整備を行いました。特に感染対策についてはどのような項目をチェックされるのか明確ではなかったため、廃棄物の分別をはじめ、想定される様々な点を改善して審査に臨みました。

JCIは、8月8日付けで認証を受けました。当院は病院機能評価やISOも取得していますが、国内の審査とJCIの審査とでは大きく異なる印象を受けました。JCIの審査では審査員からの質問を受ける人が予め決められているとは限らず、審査員が実際に現場を見て回り、その場にいる人にランダムに質問をすることがあり、受け答えのための準備ができません。特定の一部のスタッフだけではなく病院内のスタッフ全員が、病院の方針を理解し、協力して実践していなければとても答えられません。受審時にはいろいろな指摘を受け、厳しいな、と感じる場面もありました。

亀田総合病院外観イメージ

JCIの審査で重視されたのは、所見の書き方や同意書の問題、タイムアウトなどです。タイムアウトとは誤認防止を目的に医師と関係スタッフで行う確認行為のことで、患者さんが本人かどうか、どのような状態で、どんな処置を行うかなどを事前に確認します。患者さんの本人確認も2通りの確認方法で行う必要があります。入院患者さんの場合は腕にIDと氏名が記載されたベルトをしていますので、まずそれを確認し、次に内視鏡検査技師がIDと氏名を読み上げます。医師はカルテを見ながら、現在見ているカルテがその患者さんのものかどうかを確認します。この確認をいつ、誰が行ったかをカルテに記入します。当院では従来からタイムアウトを実施していましたが、カルテには実施の有無を記すだけで、医師名と技師名は内視鏡の静止画像上に記入していました。このやり方ではカルテ上で全てを見ることができない点を、審査員から指摘されました。このように、JCIの審査の視点は、日本人の感覚とは異なります。いかに日頃からしっかりと業務を行っているか、それがいかに院内で徹底されているかが重要になると感じました。

さらなる医療の質向上のため、履歴管理の実施を検討

今後どのような取り組みをしていく予定ですか。

富永当内視鏡検査室では現在、「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン」第2版(日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会編)に示された基本的なことは、ほぼ行っています。その中で唯一十分でないのは履歴管理です。いつ、誰にどのスコープを使用したのかについては電子カルテ上に記入していますが、これだけでは十分とは言えません。私たちには患者さんの安全について責任がありますから、内視鏡の洗浄・消毒に関する履歴管理をもっと厳密に行っていく必要を感じています。今後、どのような形で履歴管理を行うべきか、外来や人間ドックの内視鏡検査室担当者と現在検討中です。当院は内視鏡検査の件数が非常に多いため、履歴管理は出来る限りシンプルで手間がかからない方法がよいと考えています。履歴管理の項目も検討中で、独自の履歴管理表を作成したいと考えています。

施設の紹介

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

〒296-8602 千葉県鴨川市東町929

  • 院長 : 亀田 信介
  • 病床数 : 925床

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

( )内の数字は亀田メディカルセンター全体を示す

  • 内視鏡治療および検査件数 : 7,578件/年(27,728件/年)
    (内訳)
     上部消化管検査 2,844件(15,266件)
     下部消化管検査 1,214件(8,804件)
     その他 3,520件(3,658件)
  • 洗浄消毒器設置台数 : 3台(9台)
  • 内視鏡検査室数 : 4室(11室)
  • 医師数 : 消化器内科常勤 22名
  • スタッフ数 : 9名(21名)

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 スタッフのみなさん

前列左から 網仲幸司さん(准看護師)、橋康子さん(准看護師)、 富永和宏さん(内視鏡検査室 副室長)、太田江利子さん(臨床検査技師)、
後列左から 山麻衣さん(臨床検査技師)、内藤幹雄さん(准看護師)、 金恵美さん(臨床検査技師)、山本雄介さん(臨床検査技師)