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  5. 2010年5月 Vol.18

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2010年5月 Vol.18

施設レポート 洗浄・消毒の質を高レベルで保証するためには履歴管理のIT化が不可欠だった

旭川赤十字病院 内視鏡室

この記事のテーマ
  • 洗浄消毒記録
  • 消毒薬濃度管理
  • 製品導入効果

1978年に救命救急センターを開設し、第二次・第三次救急医療指定病院として道北の救急医療を担い、また地域医療支援病院として地域完結型の医療を進める旭川赤十字病院。本年1月に増改築工事が終了し全館オープンとなりましたが、内視鏡室はそれより一足早く2009年6月に新築移転しました。設備も一新した内視鏡室の特徴や感染管理に関する取り組みなどについて、消化器内科部長の藤井常志先生と、看護係長で消化器内視鏡技師の澤田和枝さんにお聞きしました。

旭川赤十字病院

内視鏡室の移転に伴い、レイアウトの面でも安全性を考慮した

内視鏡室の特徴をお教えください。

藤井第二次・第三次救急指定病院であり、また脳神経外科医療に力を入れているという病院の特性もあり、救急患者さんの内視鏡検査・処置や、脳神経外科の患者さんに対するPEG(経皮内視鏡的胃瘻増設術)が多いことが特徴です。近年、健診で消化器内視鏡検査を受けられる患者さんが増加していますので、経鼻的上部内視鏡検査もさらに積極的に行っていこうと考えています。

昨年の内視鏡室リニューアルの際、感染対策面でレイアウトなどに配慮された点はありますか。

藤井検査室と内視鏡洗浄室を直結し、その間のドアをスイングドアにするなど、汚れた手で触れる部分を最小限にするよう工夫しました。また、洗浄室を強制換気にして高水準消毒剤による曝露を防ぐなど、スタッフの安全面も考慮しています。レイアウト面では、スペースをできる限りゆったりとるように配慮しました。病院の特性上、寝たきりの患者さんが多く、ベッドのままで内視鏡室に搬送されてくることがあるため、通路も広く設けてスムーズに出入りできるようにしています。院内感染対策では、このような環境面の整備も不可欠だと思います。

藤井 常志 先生の写真

消化器内科 部長
藤井 常志 先生

標準予防策と感染経路別予防策はICTと連携し、チェックリストをもとに確認

院内感染対策では、具体的にどのような点に注意されていますか。

澤田どの医療機関でも同じだと思いますが、健診受検者や外来患者さん、病棟の患者さん等、多くの人が利用するため交差感染を起こしやすい場所だといえます。特に当院に多い急性期で寝たきりの患者さんはどうしても易感染状態だと思いますのでスタッフ全員に標準予防策と感染経路別予防策の徹底を指導しています。

具体的には、院内のICT(Infection Control Team)のラウンドでの指摘点は次回ラウンドまでに改善しています。また、リンクナース会と連携し年に2回、標準予防策と感染経路別予防策のチェックリストを実施し、達成点数が低い項目や未達成の項目は、再度全員でトレーニングするよう努めています。また、感染対策に関する院内・院外の講習会を、全員が必ず年に2回は受講しています。

澤田 和枝 さんの写真

内視鏡室看護係長(消化器内視鏡技師)
澤田 和枝 さん
(写真右)

内視鏡の洗浄・消毒に関する取り組みはいかがですか。

澤田新人に対しては内視鏡の洗浄消毒器が正しく実施できるよう3カ月間プリセプター制で教育しています。内視鏡室を新築移転した際、洗浄消毒器を『エンドクレンズ®』に統一しました。複数の種類の洗浄消毒器から一種類の機器になったことで、洗浄消毒器の取扱がシンプルになり新人スタッフへの負担も軽減されたと思います。日常の保守点検についてメーカーから説明を受けマニュアル化しています。

誰もが簡単に履歴管理や消毒剤の濃度管理ができるシステムは、これからますます望まれる

内視鏡の洗浄・消毒の履歴管理では『プロセスモニター』を採用されましたが、その経緯をお聞かせください。

澤田洗浄・消毒の履歴管理の意義として、内視鏡洗浄消毒の質の保証、患者さんへの説明責任、万一事故が起きた際の原因追及などがあり、医療の質をさらに向上させるためには、洗浄・消毒の履歴管理が極めて重要になっていると思います。

当院では洗浄・消毒において記録しなければならない項目として、(1)患者さんのID (2)スコープ番号 (3)洗浄実施者ID (4)洗浄消毒器番号 (5)洗浄日時 (6)消毒剤の濃度管理、の6項目を挙げ、2008年から紙フォーマットによってこれらを記録し始めました。内視鏡室は今回の増改築のために3回の引越をしているのですが、その引越で再設置した洗浄消毒器の動作に問題があり、4日間の履歴を追わなければならなくなるという事態が発生しました。そのとき、各記録を突き合わせるために膨大な労力を要しました。手書きによる履歴管理では非効率だということを痛感し、より正確で効率的な履歴管理を行うためにIT化を進めたいと考え、CNIC(Certified Nurse in Infection Control : 感染管理認定看護師)や病院に報告し理解と支援をいただき、洗浄消毒器の『エンドクレンズ®』と連携してシステムが組める『プロセスモニター』を採用しました。

『プロセスモニター』では、スコープ、患者ID、洗浄器、洗浄スタッフ、洗浄工程履歴を一括で管理でき、そのいずれかで問題が生じたとき、即座に関連する履歴を検索できるのが有用です。今後さらに効率を上げ使いやすくするためにも、メーカーと一緒に検討していきたいですね。

消毒剤の濃度管理では『ディスオーパ®モニター』を使われていますね。

澤田以前使っていたテストストリップによる濃度判定は、個人の主観によるところがあり、少々不安がありました。そこで、機械的に濃度判定が行える『ディスオーパ®モニター』を導入しました。この消毒剤の濃度判定結果も『プロセスモニター』によって一括してパソコン管理できることは大きなメリットです。消毒剤の濃度判定も、洗浄消毒器の点検と同様、必ず始業前に測定することをマニュアル化しています。

今後、医療機関ではパートや短時間労働等、色々な形態の職員が増えていくかもしれませんので、内視鏡室のような特殊な環境においても、誰もが効率的で正確にかつ簡単に使えるシステムはますます望まれると思います。

エンドクレンズとプロセスモニター管理パソコン

エンドクレンズとプロセスモニター管理パソコン

施設の紹介

旭川赤十字病院

〒070-8530 北海道旭川市曙1条1-1-1

  • 院長 : 後藤 聰
  • 病床数 : 600床

旭川赤十字病院外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

  • 内視鏡治療および検査件数 : 約6,370件
    (内訳)
     上部消化管 : 約4,350件
     下部消化管 : 約1,500件
     ERCP : 150件
     PEG : 70件 他
  • スコープ本数 : 28本
    (内訳)
     上部消化管用 : 19本
     下部消化管用 : 9本
  • 洗浄消毒器設置台数 : 6台
  • 内視鏡検査室 : 4室
  • 医師数 : 消化器内科医4名 他
  • スタッフ数 :
    看護師6名(うち内視鏡技師4名)、看護助手2名

旭川赤十字病院 スタッフのみなさん

前列左から 澤田和枝さん(看護係長・消化器内視鏡技師)、藤井常志先生(消化器内科部長)、安保淳子さん(看護師・消化器内視鏡技師)
後列左から 中野靖弘先生(消化器内科副部長)、河端秀賢先生(消化器内科医師)、伊藤誠先生(消化器内科医師)、杉山美紀さん(内視鏡室受付)、鏡暢子さん(看護師・消化器内視鏡技師)、佐藤麻美さん(看護師)、三浦弘美さん(看護師・消化器内視鏡技師)、佐藤友香さん(看護助手)、後藤智枝さん(看護助手)、中田英憲先生(研修医)