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内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2010年5月 Vol.18

施設レポート 洗浄・消毒履歴等を一元管理して病院機能評価Ver.6.0受審に対応

島根大学医学部附属病院 光学医療診療部

この記事のテーマ
  • 病院機能評価
  • 洗浄消毒記録
  • 製品導入効果

島根大学医学部附属病院は、1979年、島根医科大学附属病院として出雲市に設立されました。2003年の大学統合による現名称への変更を経て、都道府県がん診療拠点病院、地域肝疾患診療連携拠点病院などとして、島根県内の医療を牽引。来年には新病棟が完成し、さらに充実した医療を図ろうとしています。消化器・気管支内視鏡、腹部超音波の検査・治療を統括する光学医療診療部も、質の高い検査・治療の提供により地域からの信頼を得ています。そこで、同診療部の特徴や、洗浄・消毒の履歴管理の取り組みなどについて、部長の天野祐二先生と看護師長の今川博子さんにうかがいました。

島根大学医学部附属病院

洗浄・消毒の履歴管理システム導入で病院機能評価Ver.6受審に向けた整備を着手

光学医療診療部の概要や特徴をお教えください。

天野光学医療診療部は、消化器内視鏡と腹部超音波の検査・治療を統括する部門として、2002年に中央検査部から独立して開設しました。国立系の大学病院の内視鏡センターは順次、光学医療診療部という名称に変更されてきましたが、当院の場合は腹部超音波部門も一緒になっているのが最大の特徴です。超音波ですから本来は「光学」ではありませんが、肝臓がんの治療にラジオ波焼灼療法が行われるようになり、光学医療機器が使われるために、腹部超音波部門も統合したという経緯です。また、2007年からは気管支鏡部門も加わり、さらに新病棟が完成した後は泌尿器系をはじめ複数科の内視鏡診療も一緒になる予定です。

私どもの診療圏は全国的に見ても高齢化が非常に進んでおり、必然的に患者さんは高齢者が多く、従って合併症をお持ちの方も極めて多いことが特徴的です。このような地域特性を考えると、低侵襲で身体に優しい内視鏡検査、超音波診療はますます必要とされるでしょうし、そのために質が高く安全な最善の医療を提供したいと考えています。

内視鏡に関する感染対策について、特に留意している点をお聞かせください。

今川感染対策の基本は消化器内視鏡技師会の「洗浄・消毒に関するガイドライン(第2版)」を遵守することですが、予備洗浄が最も重要ですので、十分に注意しています。また病院機能評価Ver.6では、洗浄・消毒に関する質の保証としての洗浄消毒記録があるかどうかを監査されるケースがあると言われています。当院では2013年の次回更新でVer.6を受審する予定ですが、すでに履歴管理システムの『プロセスモニター』を導入しており、その面は十分整備できていると思います。

感染予防では、どのようなスタッフ教育を行われていますか。

今川 ICT(Infection Control Team)主催の院内研修会が年に数回ありますので、スタッフには出席を促しています。また看護助手などの配置換え時には、内視鏡技師が感染予防に関する講義や指導を直接実施しています。院外の研修会にも年に3〜4回出席しており、自分たちでも研究を積極的に進めて院外で発表できるようにしたいと努めています。

ICTと連携して実施している内視鏡の細菌検査記録も一緒に管理

ICTとは、どのような形で連携されていますか。

天野ICTの感染防止マニュアルに沿って感染防止を徹底している他に、ICTの副チーム長の一人は当部で診療する消化器内科医ですので、その副チーム長を中心にICTと当診療部は密に連携を取りながら感染管理に取り組んでいます。

今川ICTには感染管理認定看護師(ICN)が1名おり、必要な情報を頻繁に提供してくれています。またICTメンバーの臨床検査技師が定期的に来訪し、当診療部に保管している消毒済みのスコープを無作為に抽出し、細菌培養検査を行っています。細菌培養検査の実施記録なども、『プロセスモニター』の「付帯情報入力」のメモ欄を利用すれば簡単に残すことができて便利です。例えば、どのスコープに対して、いつ細菌培養検査を実施したのか、その結果がどうであったのかなどの情報を入力しておけます。このような記録は手書きでは紛れてしまいがちなので、『プロセスモニター』で一元管理できることは非常に有意義だと思います。

天野 祐二 先生の写真

光学診療部 部長(准教授)
天野 祐二 先生

ところで、洗浄・消毒の履歴管理システムはどのような経緯で導入しようと考えられたのでしょうか。

天野履歴管理の重要性は、適切に洗浄・消毒してあることを証明できることにあります。また、万が一院内感染が生じたときに追跡調査できることも意味を持ちます。20年ほど前、スコープに残留していた消毒剤のグルタラール製剤による喉の潰瘍が全国で問題になったことがありましたが、当院でも同様の事例があり、その追跡に大変な労力を要しました。幸い当時の内視鏡室には問題がなかったのですが、履歴管理の重要性は肌身に感じていました。日本はまだ法制化されていませんが、欧米では洗浄・消毒の履歴管理を法律で定めている国もあり、今後履歴管理の重要性は確実に高まると考えています。しかしながら、手書き管理では煩雑になってしまい、記載漏れがあってもなかなか気づきにくいものです。その点、『プロセスモニター』では管理が大変容易になりました。このような履歴管理システムを積極的に導入・活用して地域を牽引することも、基幹病院の使命だと考えています。

今川『プロセスモニター』は、当初はややまごつくこともありましたが、操作が簡単であるため慣れるまでにあまり時間はかかりませんでした。統計機能を使うことでエクセルデータに変換できることも有用性が高いですし、洗浄消毒器の『エンドクレンズ®』の運転情報を全て確認できることも安心につながっています。また高水準消毒剤の濃度管理も、質保証の観点から最も重要な項目だと認識していました。濃度管理装置『ディスオーパ®モニター』はデジタル表示のために判定の個人差がないことから導入しました。

これらの活用について、今年の2月に開催された島根県内視鏡技師研修会で「エンドクレンズ®に濃度履歴管理システムを導入して」と題して紹介しました。このような安全安心追求の取り組みを通じて、他施設の模範となれるようさらに研鑽を積んでいきたいと思っています。

今川 博子 さんの写真

看護師長
今川 博子 さん

来年、新病棟に移転すると光学医療診療部のスペースもかなり大きく変わるのですか。

天野スペースは現在の約2倍になります。レイアウト面では、動線も考えた上で、清潔・不潔の区分けをさらにしっかり行おうと計画しています。病院機能評価のVer.6.0では機器の保守管理に関する項目も増えていますが、その面でもメーカーの協力を得ながら着実に行っています。Ver.6の評価を受ける体制が整ってきましたので、感染対策マニュアルも時代に合わせて逐次見直していこうと考えています。

エンドクレンズ®

施設の紹介

島根大学医学部附属病院

〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1

  • 院長 : 小林 祥泰
  • 病床数 : 616床

島根大学医学部附属病院外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

  • 内視鏡治療および検査件数 : 約5,650件
    (内訳)
     上部消化管 約3,800件
     下部消化管 約1,600件
     ERCP 約250件
  • スコープ本数 : 50本
    (内訳)
     上部消化管用 36本
     下部消化管用 14本
  • 洗浄消毒器設置台数 : 5台
  • 内視鏡検査ベッド : 7床
  • 専任医師数 : 消化器内科医2名
  • スタッフ数 : 専任看護師1名
            消化器病棟からの応援看護師1名
            内視鏡技師(看護師)1名
            看護助手1名

島根大学医学部附属病 スタッフのみなさん

前列左から 今川博子さん(看護師長)、天野祐二先生(部長)
後列左から 結城崇史先生(副部長)、新井政江さん(看護師 内視鏡技師)、青木愛子さん(看護助手)、横木陽子さん(看護師)