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  5. 2011年5月 Vol.19

内視鏡関連情報 NEWS SCOPE | ASP Japan合同会社 〜2011年5月 Vol.19

施設レポート チーム医療を円滑に進め安全な内視鏡治療を実践

熊本市医師会 熊本地域医療センター

この記事のテーマ
  • EMR/ESDエデュケーション
  • 内視鏡業務

熊本地域医療センターは、全病床を熊本市医師会会員に開放する開放型の共同利用施設として昭和56年に開設されました。内視鏡室は治療内視鏡に重点を置き、緊急内視鏡手術に対して24時間オンコール体制で対応していることが大きな特徴です。安全・安心なESDに対する取組みを中心に、医師、内視鏡技師、看護師などによるチーム医療のあり方や進め方について、内視鏡部長の清住雄昭先生、内視鏡検査係長の淡路誠一さんをはじめ6名の皆さんにお聞きしました。

熊本市医師会 熊本地域医療センター

職種間の十分なコミュニケーションが安心安全な治療内視鏡の実践に不可欠

内視鏡室の方針や特徴をお教えください。

田村医師会会員からの完全紹介型病院で、24時間体制で患者さんを受け入れていることが大きな特徴です。医師だけでなく内視鏡技師も24時間オンコール体制で対応しています。また月1回、医師、内視鏡技師、看護師、事務が集まって内視鏡医療安全合同ミーティングを行っています。検査の連携上の問題点や、患者さんからの要望などへの対応は、この合同ミーティングでオープンに話し合っています。

田村 文雄 先生の写真

田村 文雄 先生
内科部長

清住治療内視鏡に重点を置いていることも特徴です。膵胆管の検査も非常に多く、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)が年間724例、うち治療内視鏡656例(平成22年度)という件数は全国トップクラスではないかと思います。放射線を使うERCP室も内視鏡室内にあり、昨年12月に機器を更新し、検査・治療環境もより充実しました。

清住 雄昭 先生の写真

清住 雄昭 先生
内視鏡部長

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の実施状況は、いかがでしょうか。

田村ESDの施行件数は年間約40例です。近年、ITナイフ、フックナイフ、フラッシュナイフなど様々なデバイスが登場していますが、基本的には安全を第一に考え、症例に合わせて最適なデバイスを選択するようにしています。また、ESDの安全な実施では、うまく粘膜下層の膨隆を形成することがポイントとなります。以前はグリセオールなどを使っていましたが、ヒアルロン酸の『ムコアップ®』は良好な膨隆形態が作りやすく、しかも膨隆持続時間も長いので、ESDを安全に施行する上で有用です。

ERCP室の写真

その他に、安全確保ではどのような点に特に配慮されていますか。

清住実地訓練などの教育が大切だと考えています。若手医師には、ベテラン医師がバックアップして簡単な症例での施術を積極的に行わせ、数多くの経験を積ませるようにしています。

上田若手医師は内視鏡技師と密接にコミュニケーションをとりながら、器具の取扱いや介助などの知識・手技をよく学んでいます。中堅の私も、いまだにガイドワイヤの操作などの手技について内視鏡技師から教えてもらうことが多々あります。チーム医療を進める上では、スタッフ同士が率直に意見を言い合える関係が大切だと思います。

上田 城久朗 先生の写真

上田 城久朗 先生
医員

手技を熟知し、次の展開をイメージできる能力が内視鏡技師にも求められる

内視鏡技師の役割についてお聞かせください。

淡路当内視鏡室では、内視鏡技師は看護部とは独立した組織として活動しています。患者さんの管理などは看護師に任せ、内視鏡技師は適切な処置具の受け渡しや高周波設定といった直接介助や感染管理など、内視鏡看護以外の業務に専念しています。もちろん、機器のメンテナンスや処置具の管理といった環境整備も私たちの重要な役割です。

池上直接介助では、医師と十分に意思の疎通が行えて初めて次の展開を予測することができます。また、治療内視鏡は日進月歩で、処置具等の種類も年々増えています。高周波設定も含め、多様な機器を使いこなす能力が内視鏡技師にも求められます。どのような事態の急変にも対応できるよう、日頃から準備しておくよう心がけています。

池上 慎一 さんの写真

池上 慎一 さん
消化器内視鏡技師

介助者の技量が非常に重要になりますね。

淡路その通りです。ただ単に介助につくのではなく、内視鏡手技を熟知し、次の展開をイメージできなければなりません。各症例の治療前には医師との打ち合わせや事前確認も不可欠です。特にESDでは食道、胃、大腸によって処置具も変わりますし、症例によっても治療時間が大幅に変わります。これらを理解・把握するために、医師、内視鏡技師、看護師でESD術前カンファレンスを行い、手順などを確認しています。また、術中に疑問点などがあったら医師に遠慮なく伝えるようにもしています。

淡路 誠一 さんの写真

淡路 誠一 さん
内視鏡検査係長

村上術中には様々な事態が生じますから、その場その場で意見を言い合える関係をつくっておくことが非常に大切です。先生方も耳を傾けてくださいますので、私たちも意見を言いやすい環境ができあがっています。

村上 まり さんの写真

村上 まり さん
消化器内視鏡技師

積極的に学会などに参加し情報収集や技術研鑽に励むことが大切

感染管理ではどのような点に留意されていますか。

淡路基本的にスタンダードプリコーションによる洗浄・消毒を行っています。また、検査台周辺機器などの環境衛生にも留意しています。もちろん自己防衛体制も重要です。「自分を守ることができなければ患者さんを守ることができない」という考え方で、手袋やガウン、キャップ、ゴーグルは必ず着用しています。

洗浄消毒器など、内視鏡関連機器の管理で留意されている点をお聞かせください。

淡路定期的な機器のメンテナンスはもちろん、洗浄消毒器のフィルターの交換、高水準消毒剤の濃度管理などを徹底しています。洗浄消毒器については日常業務における始業時の点検や月間定期点検、メーカーによる立ち会い点検も行っています。

最後に、今後の抱負をお聞かせください。

淡路今年の10月21日・22日に第67回日本消化器内視鏡技師学会が熊本で開かれます。私が学会長を務め、池上と村上が事務局を担当しており、テーマとして「内視鏡検査室でのプロセス〜内視鏡技師の神髄を求めて〜」を掲げています。内視鏡検査室でのプロセスとは、目標を持って勉学に励み、計画を立て、責任を持って行動し、評価するという流れを意味します。これらを自覚し、先を見据えて日々研鑽を重ねることが大切だと思います。

私はこれまでもESDにおけるコメディカルの役割について学会等で発表してきました。少しでも内視鏡技師の活躍の場を広げていきたいと考えていますので、ぜひ内視鏡技師学会などに積極的に参加し、最新の情報に触れていただきたいと願っています。

学会用ポスター

施設の紹介

熊本市医師会 熊本地域医療センター

〒860-0811 熊本県熊本市本荘5丁目16番10号

  • 院長 : 廣田 昌彦
  • 病床数 : 227床

熊本市医師会 熊本地域医療センター外観

消化器内視鏡治療/検査の概要

  • 内視鏡治療および検査件数 : 7,456件
    (内訳)
     上部消化管 : 3,506件
     (うち治療数 184件 :
      EMR 17件、ESD 39件)
     下部消化管 : 2,089件
     (うち治療数 297件 : EMR 267件)
     ERCP : 724件(うち治療数 656件)
  • ・スコープ本数 : 22本
    (内訳)
     上部消化管用 : 11本
     下部消化管用 : 8本
     ERCP用 : 3本
  • 洗浄消毒器設置台数 : 4台
  • 内視鏡検査ベッド : 検査台4台、ERCP台1台
  • 医師数 : 8名
  • スタッフ数 : 看護師5名、内視鏡技師4名、専任事務1名

左から 上田(かんだ)城久朗先生(医員)、田村文雄先生(内科部長)、村上まりさん(消化器内視鏡技師)、清住雄昭先生(内視鏡部長)、淡路誠一さん(内視鏡検査係長)、池上慎一さん(消化器内視鏡技師)