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滅菌関連情報 PLASMA LINK | ASP Japan合同会社 〜2006年10月 Vol.12

User Report 滅菌の精度やコストに対するスタッフの意識改革を実現

宗教法人聖フランシスコ病院会聖フランシスコ病院(長崎県長崎市)

この記事のテーマ
  • ステラッド®導入効果

滅菌業務の安全性と経済性をかねてから追求してきた長崎市の聖フランシスコ病院は、2001年2月に長崎県内の民間病院としては初めて低温プラズマ滅菌システム「ステラッド®」を導入しました。導入の経緯や、ステラッド®がスタッフの意識にどのような変化をもたらしたのかを、同病院のみなさんに伺いました。

宗教法人聖フランシスコ病院会聖フランシスコ病院(長崎県長崎市)

患者さまやご家族に癒しをお届けしたい

長崎市の聖フランシスコ病院は、ヨーロッパから来日した宣教師の方々の尽力によって1943年に設立された、宗教法人の歴史ある病院です。院長のシスター永田希和子は、同病院の使命について「地域の方々に可能な限りの医療サービスを提供していくのはもちろんのこと、カトリックの信者さまが多い長崎において、キリストの癒しを患者さまやご家族にお伝えしていくことが私たちの大切な使命だと考えています。そこで、祈りの場所として病院内に聖堂を設置しています。1998年にはホスピス病棟を開設しました。このホスピス病棟においては、患者さまが大切にされている宗教や信念を、宗派を問わず尊重することで、最期の最期まで患者さまに自分らしい生活を送っていただいております」と柔らかな笑顔で語ります。

続けて副院長の大曲武征先生は「今年の8月4日に、ホスピスでご家族を見送られた方の家族会を初めて開催しました。70人くらいの方が集まったのですが、その会の中で、ご家族の方から、『死は恐怖であるという固定観念がありましたが、この世から旅立っていく家族と、祈りを捧げながら個室で最期まで一緒に過ごすことで、死は恐怖ではなく、新たな旅立ちなんだと思えるようになりました』、というようなお話をお聞きし、ホスピスを始めてよかったと改めて思った次第です」と真摯な眼差しで語ります。

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/院長 シスター 永田 希和子

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/院長
シスター 永田 希和子

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/副院長 大曲 武征 先生

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/副院長
大曲 武征 先生

安全性とスピードがステラッド®導入の決め手に

このように宗教法人の病院として患者さまの心のケアに力を入れ、さらに長崎市の輪番体制による救急医療に参加し、二次救急医療の充実にも力を注ぐ同病院が、低温プラズマ滅菌システム「ステラッド®100S PSU」を導入したのは2001年2月のことでした。その経緯について、手術棟(中央材料室)看護師長の植松末広さんは「それまでオートクレーブとEOG滅菌器の2本柱で対応していたのですが、16年間使用してきたEOG滅菌器が更新の時期を目前にして故障してしまいました。その時に中央材料室で多少ガスの臭いがしたこともあり、関係担当者に依頼しEOG濃度を測定したところ、正常値の4倍から5倍の数値が出たのです。管理者として危険性を知った以上、EOG滅菌器の使用をスタッフに強要することはできません。そこで新しいEOG滅菌器に更新するか、それともEOGを使用しない滅菌器を導入するか検討することになったのです」と当時を振り返ります。

そして、EOG滅菌器を更新したところで、また機械が壊れEOGが漏れることがあるのでは、という不安は結局付きまとうと考えた植松さんは、安全で確実な滅菌方法を導入することを決意。当時、長崎では既に長崎大学医学部・歯学部附属病院などが導入し、有毒なガスを使用しないその安全性や、滅菌のスピードが話題になっていたステラッド®を、周囲の賛同を得て導入することになりました。

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/手術棟看護師長 植松 末広 さん

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院/手術棟看護師長
植松 末広 さん

ステラッド®の導入を決めるにあたっては、安全性はもちろんのこと、最短で約54分※という滅菌のスピードも大きなポイントになりました。「救急医療に力を入れる私たちの病院で行われる手術の実に約6割強が臨時手術です。入院して数時間後に手術というのは当たり前であり、その緊急手術を行う上で、滅菌のスピードも大変重要だったのです」と大曲先生は語ります。また、滅菌のスピードが早いおかげで医療器具の回転率が上がり、例えば本当は5セット買わなければいけない医療器具を3 セットの購入ですませられれば、その浮いた2セット分のお金で半年後や1年後に新しい医療器具を購入できるようになりますが、このことも、日進月歩の医療業界において大きなポイントだったと植松さんはいいます。

※ ステラッド®100S PSIIを使用した場合

ステラッド®を導入し、スタッフにもたらされた2つの意識改革

意識改革1

キャンセルを意識し、滅菌器の正しい使用法を遵守するようになった

意識改革2

コストを意識し、各医療器具に最適な滅菌方法を選択するようになった

安全を手に入れるのに、お金がかかるのは当たり前

同病院はステラッド®を導入して既に5年以上経ちますが、導入成果として、植松さんはまず一番目に、滅菌の精度に対するスタッフの意識改革をあげます。この意識改革のプロセスについて植松さんは「ステラッド®は滅菌物に水が残っていたり、リネン類を入れるとキャンセル(業務停止)を起こします。キャンセルを何度も起こすとスタッフの間に、今度はキャンセルを起こさないようにきちんと滅菌しようという意識が生まれ、ステラッド®はもちろんオートクレーブやEOG滅菌器も気をつけて使うようになります。この意識改革によって、我々の滅菌の精度は確実に上がったと思います」と力を込めて説明します。また、滅菌の精度だけでなく、滅菌業務のコストに対する意識改革も促すために、植松さんは各滅菌器の1工程にかかる経費を算出し、スタッフに公表しました(下図参照)。オートクレーブ、EOG滅菌器、ステラッド®の 1工程にどれだけのコストがかかるのか明らかにすることによって、これまで闇雲に機械をどんどん使っていたスタッフが、効率を考えながら、それぞれの医療器具にあった滅菌を行うようになるなど、その効果は大きかったと植松さんはいいます。

ステラッド®

ステラッド®

ステラッド®の経済性について、続けて植松さんは「ステラッド®は安くはありません。しかし、安全を手に入れるのに、お金がかかるのは、そもそも当たり前の話なのです。安全への配慮が足りなかったために、先日、プールやエレベータで起きたあのような悲惨な事故を、医療の現場で絶対に起こしてはいけないと思います」と厳しい眼差しで語ります。さらに、「オートクレーブやEOG滅菌器は本体が安全でも付帯設備に不備があれば事故につながる可能性があります。そこで当然、付帯設備の安全管理にも力を入れなければいけませんが、ステラッド®は電源以外に付帯設備がないため、この点も大変助かっています。他にも、EOG滅菌器の使用に際し求められる作業環境測定などが必要ないことなど、様々なメリットを考えれば、ステラッド®が高いとは決して思いません」と植松さんは断言します。

最後に、現在ステラッド®の導入を検討している病院へのメッセージとして植松さんは「先ほども申しましたが、まず、安全を手に入れるにはお金がかかるということを認識してほしいですね。そして、ステラッド®には安全性やスピードというメリットはもちろん、滅菌の精度向上につながるスタッフの意識改革という、目には見えない大きな付加価値があることも改めて強調したいですね」と自信を持って語ってくれました。

院内の目立つ場所にステラッド®のポスターを貼り、同病院の安全を追求する姿勢を患者さまとスタッフにアピール。

院内の目立つ場所にステラッド®のポスターを貼り、同病院の安全を追求する姿勢を患者さまとスタッフにアピール。

滅菌の精度とコスト、その両方を追求してやまない同病院の先進的な取り組みは、これからも注目を集め続けることになりそうです。

滅菌器の1工程にかかる経費(聖フランシスコ病院の場合/2003年3月現在)

項目

高圧蒸気滅菌器

EOG滅菌器

ステラッド®
低温プラズマ滅菌システム

蒸気消費料

500

0

0

EOG消費料

0

2,300

0

過酸化水素消費料

0

0

1,850

ボイラー電力費

20

0

0

滅菌器電力費

200V×10A×1.0h
=2.0kw
2.0kw×15円=30

200V×10A×2.75h
=5.5kw
5.5kw×15円=82.5

200V×10A×1.2h
=2.4kw
2.4kw×15円=36

滅菌器維持費

138

463

231

人件費

800
(設備費含)

400

800

その他、放熱・
配管設備など整備費

102

343

0

総計

1,590

3,589

2,917

人件費は時給1,199円/h(日本医労連調査政策局のデータに依る)として換算しています。

EOG滅菌器の滅菌器電力費にエアレーションの電力費は含まれていません。

滅菌器維持費に高圧蒸気滅菌器、EOG滅菌器の付帯設備の維持費は含まれていません。

施設の紹介

宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院

長崎県長崎市小峰町9-20
病床数:255床
手術室数:4室
手術件数:883件(2005年度)

聖フランシスコ病院のウェブサイト

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宗教法人 聖フランシスコ病院会 聖フランシスコ病院

原爆の悲劇を今に伝えるタイサンボク(泰山木)

聖フランシスコ病院(当時、浦上第一病院)は爆心地から北東約1,400mの閑静な丘に建っており、原爆が落ちたその日、爆風と火災により建物は焼け落ちてしまいましたが、敷地内で何とか残ったのが外郭とタイサンボクでした。被爆の生き証人であるこのタイサンボクは、現在の病院本館を建設する際には、職員の強い希望もあって、そのまま残されました。爆心側には今でも、当時の焦げあとを確認することができますが、毎年初夏には大きな純白の花を咲かせ、病院を訪れる多くの人の目を楽しませています。

原爆の悲劇を今に伝えるタイサンボク(泰山木)