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滅菌関連情報 PLASMA LINK | ASP Japan合同会社 〜2009年11月 Vol.17

Special Report
医療機器の定期的な保守点検はトラブルを未然に防ぎ患者さまの安心安全に直結します。

社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 経営企画室
特命プロジェクト担当部長 臨床工学室室長 井福 武志 さん
社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室 蓑田 英明 さん

この記事のテーマ
  • 保守点検
[画像] 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 経営企画室 特命プロジェクト担当部長 臨床工学室室長 井福 武志さん 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院 臨床工学室 蓑田 英明さん

薬事法や医療法の改正により医療機器の保守点検が義務化されました。

また、各種ガイドラインも発行され、多くの医療機関では医療機器のメンテナンス体制の見直しを迫られています。以前から積極的に、医療機器の保守管理に取り組んできた社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院(福岡県久留米市)の臨床工学室長の井福武志さんと、同室に所属する臨床工学技士の蓑田英明さんに、その重要性と実際の取り組みについて伺いました。

この数年の間に、医療機器の管理について、よりいっそうの徹底を求める法改正が相次ぎました。2005年の改正薬事法では「特定保守管理医療機器」(表参照)の一部が改正され、2007年の改正医療法では、「医療機器安全管理責任者」の配置、研修の実施、点検計画書の策定及び実施、必要な情報の収集などが義務付けられました。医療機関が日々進歩する医療機器を安全かつ有効に活用できるか否かは、こうした改正にどのように対応していくかが、重要なポイントになってきます。

聖マリア病院で医療機器安全管理責任者を務める井福さんは、1987年に臨床工学技士が国家資格と定められた第一回試験の合格者で、現在は同院の臨床工学室室長という要職にあります。

同院の臨床工学室の役割について「院内には4,000台近い医療機器があり、以前からその約95%の医療機器を管理していました。改正医療法施行後、中央検査部や画像診断部の装置も含め、現在は100%すべてを臨床工学室のサーバーで管理しています」と話します。

臨床工学技士という国家資格ができて20年ほど経ち、法改正や各種ガイドラインが発行され、医療機器の安全性の確保は、ようやく注目されてきた段階です。しかし、井福さんは「当院ではこうした環境が整う前から、機器の管理の必要性を痛感し、実践してきました」と振り返ります。

勉強会、点検年間計画書、チェック用紙 すべては医療機器管理の徹底のため

病院に基本理念や医療倫理があるのと同様に、部署にも理念が必要と井福さんは言います。「臨床工学室の基本理念は2つあります。一つは医療機器の安全を確保することで、医療スタッフひいては患者さまに安心感の提供を行うこと。もう一つは、医療機器にかかわるコスト等を踏まえ、経営的側面に貢献することです」と話します。

経営への貢献とは、従来は手術室や中央材料室といった場所単位、あるいは診療科単位で管理していた医療機器を臨床工学室が一括して管理することで、ムダを減らし実現するものです。

写真1 点検計画書

写真1 点検計画書

もちろんこういったことは、臨床工学室だけの努力では達成できません。現場で機器を操作する看護師らスタッフの協力が不可欠です。このため臨床工学室では年に10回、毎回約1時間程度をかけた「ME勉強会」を十数年前から開催しています。

そこでは「シリンジポンプ・輸液ポンプ」や「生態情報モニター」「酸素療法・医療ガス」など汎用性のあるテーマから始まり、「人工呼吸器」や「内視鏡システム」、「ペースメーカー」など専門性が高いテーマとなっていきます。参加対象者は、院内スタッフの他、約500ある連携施設スタッフや救急隊員、救急救命士です。

医療機器は、中央管理するものと各部署に配置しているものがあるので、予め年間点検計画を立て計画に基づき徹底しています(写真1参照)。一覧表を毎月各部署へ配布し、その月の対象となる医療機器を確認してもらいます。臨床工学技士が担当する医療機器の「定期点検」は添付文書に基づき、基本的に年2回行っています。

一方、「使用時点検」は、現場の看護師に担ってもらうことにしていますが、周知徹底が難しいと言います。この対策として現在では、日々機器を操作するスタッフに対し、日常点検に使うチェック用紙を配布、それを回収し保存していくという工程を採用しています。作業をフロー化すると意識が向上するというメリットもあります。

医療機器の取扱説明書や添付文書は、紙のほか、PDF化しデジタルデータで管理しており、臨床工学室が管理・運営するサーバーにアクセスすればどこからでも参照できるようになっています。さらに医療機器ごとに「機器カルテ」をデジタルデータと紙の両方で作成し、修理や点検の履歴や医療機器にかかわる情報が一目瞭然に参照できるようになっています。

専門性の高い医療機器のケアはプロに任せるべき

聖マリア病院では、高圧蒸気滅菌器を5台、EOG滅菌器を3台、そして過酸化水素プラズマ滅菌器を1台保有しています。

中央手術センター内に置かれたステラッド®100Sは2001年に購入しました。エアレーションの時間が必要ないために短時間で滅菌できることが導入の決め手でした。

現在、ステラッド®100Sは一日に平均4回転しており、故障すると手術が滞りかねない状況です。井福さんの右腕とも言える存在である蓑田さんは「手術の件数が増えると、器材を追加で購入しなければいけませんが、ステラッド®は短い時間で滅菌できるので、現在、比較的少量の器材で運用できています。そのため、万一、ステラッド®に大きな故障が発生するとその影響はとても大きいと思われます」と言います。

ステラッド®100Sの写真

「高額な内視鏡をはじめとして、ステラッド®に適合した器材を進んで選んでおり、すっかりステラッド®に依存している状態です。そのため、壊れてからでは遅いので、当院ではステラッド®に関しては、年に2回の定期点検などを含んだ『フルメンテナンス契約』をメーカーと結んでいます」とも説明します。

「故障やトラブルにより、患者さまへ直接影響をおよぼす医療機器や診療行為に支障をきたすような特定保守管理医療機器などについては、故障を未然に防ぐために定期的な保守点検をメーカーに依頼することがベストだと思います」と井福さんは語ります。

表 特定保守管理医療機器の分類図

表 特定保守管理医療機器の分類図

より良い医療を提供するために医療機器の定期点検は不可欠

蓑田さんは「フルメンテナンス契約にかかる費用は少なくないかもしれませんが、故障で支障をきたす事態を考えるとメリットの方が大きいと思います。特に手術室にあるステラッド®は、そこにあって、いつも同じように使える空気のような存在であってほしいのです」と話します。

蓑田さんは、定期点検に訪れるメーカーのテクニカルスタッフとのコミュニケーションにも、意義があると指摘します。「われわれでは気付かない故障の前兆を察知し未然に摘みとってもらえますし、万一故障しても、日頃から接触しているエンジニア同士なので意志疎通がスムーズにでき、いつ直るのか見通しをすぐに立ててもらえます。判断が早まれば、手術計画もその分スピーディに立て直せ、患者さまへの影響も最小限に抑えることができます。ですから、医療機器の選定には、アフターサービスのレベルも含めてトータルで考慮すべきだと思っています」と語ります。

社団法人日本臨床工学技士会の理事でもある井福さんは、「患者さまは、使用される医療機器までは選べません。その意味でも、病院側が日々のメンテナンスを行うことは絶対に必要です。壊れてから修理するのではなく、その前段階である“予防”という意識を数多くの医療従事者に是非持ってもらいたいと思います」と医療機器の定期的な保守点検の重要性を強調されています。

施設の紹介

[画像] 社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院

社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院

福岡県久留米市津福本町422
病床数:1,354 床
手術室数:12 室
手術件数:6,232 件
(2008年度)

社会医療法人 雪の聖母会 聖マリア病院のウェブサイト

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