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滅菌関連情報 PLASMA LINK | ASP Japan合同会社 〜2010年5月 Vol.18

User Report 新たに器材を購入する際はステラッド®での滅菌が可能か必ず確認を取り付けています

東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)

この記事のテーマ
  • ステラッド®導入効果
  • 器材適合性

厚生労働省からの「プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)要約」の通達を機に、中央滅菌材料室の業務を見直した結果、滅菌作業の効率化がもたらされました。現在では器材購入時に、必ずステラッド®で滅菌ができるかどうかを、一つひとつ確認しています。その経緯と運用の実態を麻酔科教授の落合亮一先生、中央滅菌材料部看護師長の飯澤若子さん、同室の島野大さんに伺いました。

宗教法人聖フランシスコ病院会聖フランシスコ病院(長崎県長崎市)

ガイドラインの制定で業務の見直しにも着手

東邦大学医療センター大森病院は、所在地である東京・大田区と周辺の品川区、目黒区だけでなく、京浜東北線沿線から患者を受け入れています。同院の麻酔科教授で、手術部部長でもある落合亮一先生は「医療人の育成を手がける大学病院でありながら、第三次救急医療施設として、救急医療に積極的に取り組んでいます」と特徴を語ります。

2009年度の手術件数は7,115件でした。この数は年々増加しています。手術に必要な器材は、中央滅菌材料室にあるオートクレーブ(3台)、EOG(1台)、ステラッド®100S(2台)、そして2008年12月に導入されたステラッド®NX™(1台)で滅菌されます。このほかに、手術室にもオートクレーブとステラッド®NX™が1台ずつ使われています。365日体制で稼働している中央滅菌材料室にあるステラッド®NX™は、一日平均5回転しており、多い日では11回転することもあります。

麻酔科 教授 落合 亮一 先生

麻酔科 教授
落合 亮一 先生

同院は、2008年9月に厚生労働省から「プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)要約」が公開されて間もなく、中央滅菌材料室の業務の見直しが必要であると考えました。

中央滅菌材料室の看護師長で、感染管理部の副部長も務める飯澤若子さんは「業務の見直しを開始するにあたって、ハイスピードで滅菌ができるステラッド®NX™を購入しなくてはならないことは明らかでした」と言います。

従来から所有していたステラッド® 100Sだけの体制では、一度滅菌を始めると、それが終わるまで、他の器材が滅菌できなくなるからです。今回、業務の見直しを本格的に行うと、ステラッド® 100Sだけの体制ではすべての診療科が行うあらゆる手術を待たせてしまう可能性が生じてしまいます。

「私たちとしてはこれまで通り、滞りなく手術ができる環境を整える必要がありました。リスクを最小限に抑えるため業務を見直し、ステラッド®NX™購入のなるべく早い決断が必要でした」と当時を振り返ります。

中央滅菌材料部 看護師長 飯澤 若子 さん

中央滅菌材料部 看護師長
飯澤 若子 さん

中央滅菌材料室は後衛部隊だが言うべき時には言う必要がある

飯澤さんは、「実際にステラッド®NX™を購入できるかは別として、感染を防ぐ当事者として『必要だ』と声を上げておく重要性を感じていたそうです。中央滅菌材料室は後衛部隊で、目立たない存在ですが、日々の仕事で事故がないように、言うべき時には、はっきりと言う必要があると思います」(飯澤さん)。

「手術をする医師全員のオペスケジュールに関わるものですから、購入に当たっての反対はありませんでした」と落合先生が言うように、飯澤さんの声に医師たちの賛同が集まり、用度課の理解も重なって、スムーズな導入が決まりました。

同院では、耐用期間を迎えていたステラッド® 100Sを更新するか、ステラッド®NX™を購入するかの試算も行っています。

ステラッド®100Sとステラッド®NX™

ステラッド®100Sとステラッド®NX™

落合先生は「効率を重視しました」と言います。「滅菌作業を朝に行っているのか、夜なのか。また、滅菌業務に関わるスタッフがどのようなシフトで仕事をしているのかも考慮しました」。

購入費用だけでなく、減価償却費やその後の運用に必要な人件費やカセット費も含めて検討した結果、年間約220万円近くのコスト削減が見込めると結論を出し、購入に踏み切りました。現在は、飯澤さんが「ステラッド®NX™がもしなかったら、どうなっていたかと思います」と表現するほど活躍しています。

「ステラッド®かACで滅菌可能」がもともと器材購入の前提だった

今回の業務の見直しを開始するに当たって、同院では器材の買い換えは発生しませんでした。従来から、ステラッド®またはオートクレーブで滅菌できるものしか、購入していなかったからです。

原則として、熱に耐えられるものはオートクレーブで滅菌、そうではないものはステラッド®NX™で滅菌しています。一部、熱に耐えられず、また、サイズの大きな器材はステラッド® 100Sで滅菌します。ステラッド®NX™に入るサイズのものでも「細長い内腔を有するようなものは、じっくりとステラッド® 100Sで滅菌します」と中央滅菌材料室の責任者である島野大さん(日本ステリ所属)は言います。また、耐熱性があるとされている器材でも、熱に弱い素材が使用されている場合には、ステラッド®を使うこともあります。

島野さんは「当院では滅菌有効期間を、オートクレーブの場合は1ヶ月、ステラッド®は1年と決めています。なので、滅多に使わないものは滅菌有効期間の長いステラッド®で滅菌しています」と言うように、期限と使用頻度も考慮して使い分けています。つまり、原則はあっても、臨機応変な運用がなされていることになります。

中央滅菌材料部 島野 大 さん(日本ステリ株式会社)

中央滅菌材料部
島野 大 さん (日本ステリ株式会社)

「プリオン対策済み」のスタンプがスタッフの意識付けにもつながる

こうなると、プリオン病感染対策済みのものとそうでないものを取り違えることは避けなくてはなりません。プリオン対策を開始するにあたり同院では、ガイドラインに沿って滅菌を行った器材のパッケージに「プリオン対策済み」のスタンプを押すようにしました(写真参照)。これは、他の器材との混在を防ぐためでもあり、スタッフへ意識付けをするためでもあります。島野さんは「私たち滅菌担当者だけでなく、手術室の看護師の方にも押していただくことがあります。その際は、『押してください』とお願いするだけでなく、なぜプリオン対策が必要なのかを詳しく説明しています」と言います。

飯澤さんもこの取り組みの必要性を「ただスイッチを入れて滅菌すればいいというわけではなく、自分が行っていることの重要性を理解し日頃の業務を行うことが、感染の防止につながる」と考えています。

写真 「プリオン対策済み」スタンプ

写真 「プリオン対策済み」スタンプ

ステラッド®で滅菌できない器材は器材メーカーに評価・試験を依頼する

業務の見直しを開始した後に購入した器材に関しても、ステラッド®またはオートクレーブでの滅菌処理が可能かどうかの適合情報は、非常に重要視しています。どちらでも滅菌できない器材はディスポ化しています。「ステラッド®やオートクレーブでの滅菌ができないことで、今回の業務の見直しに支障をきたしてしまう器材を購入することになれば、私たち滅菌担当者は困ってしまいます。適切な滅菌ができなければ、使用する医師も困ります。その結果、患者さまが手術を受けられずに困ることになるからです」と島野さんはその理由を語ります。

ステラッド®の適合性が不明な場合は器材メーカーに対し、試験を依頼しています。

プリオン病感染対策として使用するアルカリ洗剤についても「アルカリ洗剤が使用できないと言われていた器材がありましたが、成分を吟味することで使用できるアルカリ洗剤を見つけられました」と、これもメーカーに確認をしました。

このような経験から得られた解決策を、島野さんは「このような確認は、それほど手間ではありません。直接、メーカーに聞けばいいのですから。ただ、待っていても情報はやってこないので、こちらからメーカーに試験の依頼をする必要はあると思います」と話します。

さらに今後は、「ぜひ、こちらから質問をする前に、メーカーが自発的にステラッド®での滅菌の適合性を試験していただきたいと考えています。これからの時代、『ステラッド®で滅菌できるか試験をしていないので分からない』というのは、通用しないのではないでしょうか」。

必要な器械を買って効率アップそれがスタッフを守ることになる

ステラッド®NX™のスムーズな導入と滞りない運用が実現できた理由を、島野さんは「医師、看護師のみなさんに恵まれていました」と話します。

飯澤さんは「島野さんをはじめ、豊富な知識を持つ日本ステリの方が、医師とのコミュニケーションの際に、正確な名称や数値を交えた話を重ねてきました。このことは結果的に、信頼を得ることにとても大きな影響を及ぼしていると思います」と付け加えます。

そして落合先生は「スタッフが安心して気持ちよく働くためには、『守られている』という意識を持ってもらう必要があります。病院の中でスタッフを守れるのは私たち医師だと考えています。必要な器械を買って効率を上げることで仲間を守れるのであれば、それをしない理由はありません」と話します。

写真左 飯澤さん 写真右 島野さん

写真左 飯澤さん 写真右 島野さん

同院がステラッド®NX™を購入したきっかけは業務の見直しでした。しかし結果として、滅菌作業の効率を向上させ、さらに、同院の理念「安全で質の高い医療の実現」を、スタッフが再認識しあう機会をも、もたらしたと言えます。

施設の紹介

東邦大学医療センター大森病院

東京都大田区大森西6-11-1
病床数:1,021 床(うち一般985 床、精神36 床)
手術室:14 室
手術件数:7,115件(2009年度)

東邦大学医療センター大森病院

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東邦大学医療センター大森病院