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ASP感染管理のQ&A | ASP Japan合同会社

尿器の消毒

当院にはベットパンウォッシャーがありません。尿器やポータブルトイレの容器は排泄物を流水洗浄し、使用しています。排便後も同様に流水洗浄し、Bedサイドへ戻している状況です。患者専用で1ヶを使用し、退院時に消毒(酸素系ハイター)浸漬しています。毎日の浸漬消毒を検討しましたが、労力の問題もあり実施に至っていません。以上の現状から検討中の対策について、その他ご意見を宜しくお願いいたします。
(1) ベットパンウォッシャーがない施設での尿器・便器・ポータブルトイレの容器の毎回の使用後の管理について
(2) 排泄後流水洗浄し、0.1%塩素酸系ハイターの噴霧は適切な対策か?
(3) 酸素系ハイターでの浸漬は消毒・殺菌効果ないため、改善が必要か?
(4) やはり毎日1回の塩素系浸漬消毒が必要か?
(5) その他、改善策の案を宜しくお願い致します。

 

尿器、便器、ポーブルトイレ容器(以下、尿器等)は、使用後にペッドパンウォッシャーで熱水消毒をするか、洗剤と流水で洗浄したのち、1000ppm(0.1%)濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液に30分程度浸漬させることが推奨されています。消毒薬の噴霧は、効果が不確実であり、吸入毒性を生じることから推奨されません。使用毎に洗浄・消毒しない場合、複数患者の汚染された尿器等が隣接して保管されることによって、尿器等を介した交差感染のリスクが高まることが懸念されます。また患者のベッドサイドに保管する場合、付近に置かれた医療器具・材料、リネン等が汚染される可能性が生じます。さらに、洗浄後の水滴によって環境が汚染されることも想定されます。このため、尿器等を使用毎に洗浄・消毒する方策を前向きに検討されることを強くお勧めいたします。使用毎の用手洗浄・消毒にかかる労力や作業時間を考えた場合、ベッドパンウォッシャーの導入の方がかえって安上がりとなるケースもありますので、管理者を巻き込んで予算申請することも検討されてはいかがでしょうか。その間の当座の策としては、使用後の尿器等は、手袋、ビニールエプロン、フェイスシールドを着用して、できるだけ飛沫が飛ばないように洗い流し、洗い流したあとの尿器等が汚染されず、かつ周囲の医療器具・材料、リネン類や他患者の尿器等にも触れない位置に乾燥しやすい状態で保管するとともに、可能な限り短い間隔で洗浄・消毒を実施するとよいのかもしれません。もちろん、この方法がリスクフリーであるということではありませんが。

参考文献
  • 大久保憲編集 現場ですぐ使える洗浄・消毒。滅菌の推奨度別絶対ルール227&エビデンス インフェクション・コントロール2009年秋増刊 東京 メディカ出版 2009年

この質問に回答いただいたのは・・・

坂本史衣先生

学校法人 聖路加国際大学 聖路加国際病院 QIセンター

1991年聖路加看護大学卒業、聖路加国際病院公衆衛生看護部を経て、1997年米国コロンビア大学公衆衛生大学院卒業。聖路加国際病院看護部勤務の後、日本看護協会看護研修学校 感染管理認定看護師教育課程専任教員。2002年より現職。米国感染管理疫学資格認定機構 (CBIC)による感染制御認定資格(CIC)取得。日本環境感染学会理事、日本医療機能評価機構患者安全推進協議会感染管理部会副部会長。

学校法人 聖路加国際大学 聖路加国際病院 QIセンター 坂本史衣先生