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教育ツール・ガイドライン | ASP Japan合同会社

2005年2月 医療施設における院内感染の防止について
(厚生労働省医政局課長通知 平成17年2月1日より抜粋)

従来の院内感染対策には、科学的な根拠のない方法が、過去の習慣から漫然と採用されているケースも少なくはなく、科学的根拠に基づいた院内感染対策を構築する必要性が指摘されてきました。厚生労働省では、平成15年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)による「国、自治体を含めた院内感染対策全体の制度設計に関する緊急特別研究」(主任研究者:小林寛伊・NTT東日本関東病院名誉院長)を行い、その分担研究報告書『医療施設における院内感染(病院感染)の防止について』を参考にした「医療施設における院内感染の防止について」が、平成17年2月1日に通知されました。

組織的な取り組みが不可欠

本通知では、基本的な推奨事項として院内感染対策への組織的な取り組みの重要性を指摘するとともに、科学的な根拠に基づく具体的な指針が示されました。

  1. 感染制御の組織化

    • 院内各部門を代表する職員により構成される「院内感染対策委員会」を設置する。
    • 院内全体で活用できる総合的な院内感染対策マニュアルと、必要に応じて各部門特有の対策を盛り込んだマニュアルを整備し、最新の科学的根拠や院内体制の実態に基づいて適宜見直しを行う。
    • 院内部門間で感染症情報を迅速かつ確実に伝達・共有できる体制を確立する。
  2. 標準予防策と感染経路別予防策等

    • 標準的予防策(手袋・マスク等の個人用防護具の配備、使用の周知徹底など)を実施するとともに、必要に応じて感染経路別(空気・飛沫・接触)の予防策を実施することで易感染者を防御する環境整備に努める。
  3. 手洗いおよび手指消毒

    • 設備・備品を整備し、患者処置の前後には必ず手洗い・手指消毒を行う。
    • 持続殺菌効果のある速乾性擦式消毒薬による消毒、または手術時手洗い用の外用消毒薬と流水による消毒を基本とする。
  4. 職業感染防止

    • 針刺しによる感染防止のため、使用済み針への「リキャップ」を原則禁止とし、注射針専用の廃棄容器の配置など、医療従事者らを対象とした適切な感染予防対策を講じる。

分担研究報告書ではほかに、薬剤耐性菌の検出頻度状況や薬剤感受性パターンの把握、TDMの実施など、抗菌薬耐性菌対策における薬剤部の関与の重要性が指摘されています。

手術時の手洗い効果に新見解、医療法施行規則も一部を改正へ

分担研究報告書ではまた、水道水と滅菌水による手術時の手洗いの滅菌効果について、両者間に有意な差は認められないことから、必ずしも滅菌水を使用する必要はないとの見解が示されました。これを受けて、医療法施行規則(第20条第3号)の手洗い設備の規定も改正され、従来の「滅菌手洗い」が「清潔な手洗い」に改められています。

他にも以下に示すように、近年の知見に基づき、従来採用されてきた院内感染対策について見直しが行われ、新たな指針が示されました。

  • 集中治療室などの衛生環境への入出時の履物交換や個人用防具の着用に有意な感染防止効果が認められないため、院内感染防止を目的として一律に実施する必要はない。
  • 消毒薬の噴霧、散布、燻蒸、および紫外線照射などの効果は不確実であるだけでなく作業者への危険性もあるため、漫然と実施しない。
  • 粘着マットおよび薬液浸漬マットには感染防止効果が認められないため、原則として院内感染防止の目的としては使用しない。
  • 定期的な環境微生物検査結果は必ずしも施設の清潔度の指標とはならないため、一律に実施するのではなく、感染経路状況の把握など、必要に応じて限定して実施する。

引用:平成17年2月1日付 厚生労働省医政局指導課長通知