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教育ツール・ガイドライン | ASP Japan合同会社

「消化器内視鏡・洗浄消毒に関する収集データの標準化勧告」
(洗浄消毒履歴管理のミニマムスタンダード)

感染対策における標準防護策では人の汗を除く全ての体液を感染対象としている。

内視鏡室の検査・治療においての感染源としては血液をはじめとして、全ての体液が排出・排泄されることがあり、内視鏡室での感染対策も標準防護策を適用している。また、環境への汚染物質の付着やスコープの再生使用による感染も惹起されている。内視鏡の洗浄消毒は各種の洗浄消毒ガイドラインを遵守することにより一定の効果が実証されているが、消毒レベルでの保証に関しては滅菌業務に比較すると指標が明らかでないため、洗浄消毒質の保証に関しては更に検討する必要が生まれる。

ガイドラインを遵守することが最も重要なことであるが、最近は洗浄・消毒の質保証および洗浄・消毒作業の遡及性を求められるようになってきた。所謂「洗浄消毒履歴の記録」である。

ガイドラインを遵守しつつ、作業を正しく遂行したかを記録に残すことが重要と考えられる。

現在、洗浄消毒履歴管理は記帳方式から自動取得まで各種の方法が試みられている。しかしながら、洗浄消毒装置は各種多様なものが販売されており、洗浄消毒装置から得られるデータも一定ではないことから、必要最低限(Minimum Standard)のデータを設定することが求められ、出力の標準化も必要な時期となってきている。

そこで、本内視鏡洗浄消毒出力標準化委員会では、Minimum Standardとして洗浄消毒装置からの出力項目を設定することとした。

現状

現在洗浄消毒履歴管理として大きく分けて3つの方法が行われている。

  1. 大規模設備
    内視鏡ファイリングシステムや電子カルテからの患者情報を元に、洗浄消毒装置から得られたID情報や、スコープID、術者ID、洗浄担当者ID、消毒薬情報などを蓄積する方式。

  2. 中規模設備
    内視鏡室内で洗浄消毒装置に接続したシステムで、患者IDはじめ、洗浄担当者IDやスコープID、消毒薬情報などを電子的に取り込み蓄積する方法。

  3. 小規模設備
    一部に自動化を含むものの、ほとんどの情報を洗浄消毒履歴として記帳する方法。

洗浄消毒履歴に必要な出力項目

  1. 洗浄消毒処理日時(When)

  2. 使用洗浄消毒装置(Where)

  3. 洗浄消毒実施者(Who)

  4. 対象患者(Whom)

  5. 洗浄消毒スコープ(What)

  6. 実施内容(How)

出力項目の取得と蓄積方法

必須となる出力項目の個々の取得方法は、施設に見合った方法を採用すればよいが、過去の研究から用手での記載は誤りの発生する機会が多いため、IDを機械的に読み取る方法が望ましい。

  1. 洗浄消毒装置では処理日時を自動に取得が可能とする。これには開始時間と終了時間も含まれる。

  2. 処理する洗浄消毒装置は固有番号等が取得できることとする。

  3. 洗浄消毒実施者はIDカード等から自動取得できることとする。前洗浄者も含むとする。

  4. 対象患者もバーコードやIDカード等から自動取得できることとする。

  5. 対象スコープのスコープIDを自動所得することとする。

  6. 実施内容に関しては多種にわたる。リークテスト結果、消毒薬の有効濃度、消毒薬の作用時間、消毒薬の交換時期、洗浄消毒装置の各種フィルター交換日時、メンテナンス日時と内容、洗浄消毒装置のエラー情報の取得などがある。

蓄積方法は、電子化し、随時集計・統計処理ができることが遡及性を含めた管理となる。但し、入力に関して、1〜6はできるだけ自動取得が望ましいが、設備の関係から困難なものは用手入力によるものとする。または記帳方式にする場合においても上記1〜6の項目記載ができることを強く推奨する。

各項目の収集方法は、洗浄消毒装置本体、外部接続のPCなのが考えられるが、データの収集、集計、統計、比較など、実施記録が出力されることが必須である。また、アプリケーションを構築すべきであると考える。

収集データの閲覧、出力に関しては、洗浄消毒装置の機種別・操作者別など項目別に時系列表示できることが必要であるが、統計等の必要が生じた時には施設の個人情報保護規定または情報管理規程を遵守した方法で、メディア経由で外部出力できることが望ましい。

おわりに

洗浄消毒装置のデータおよび入力すべき最低限の項目を採りあげ、主として消毒レベルのデータ収集となったが、洗浄消毒のもう1つの洗浄の質に関してはガイドライン遵守を原則としながらも標準化には至っていない。今後洗浄レベルの客観的な数値が得られるようになった場合、更に項目として追加されることになるだろう。

平成23年3月1日 日本消化器内視鏡技師会・洗浄消毒出力データ標準化委員会
伊東百合子、大橋 達子、岡田 修一、佐藤 絹子、田村 君英、並木 薫、新田 孝幸、深井 学、堀内 春美、松本 雄三
引用:日本消化器内視鏡技師会会報No.46